表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/124

084

14日目。


クロウの身体は明らかに変わっていた。長い修行の日々、目隠しをされ、何十人もの相手に打ちのめされ続けた結果、彼はようやく「基本的な体術」を掴み取ったのだ。呼吸、歩み、力の込め方──そのすべてが以前よりも確実になっていた。




その朝、クロウは道場主の男に問いかけた。


「俺はもう体術の基礎を身につけた。じゃあ、“黄金の鎧”っていうのはどこにあるんだ?」




男は腹の底から笑った。


「はははっ! お前が今覚えたそれこそが“黄金の鎧”だ。実物の鎧なんてあるわけない。金と同じくらい貴重だから、そう呼ばれているだけさ。」




クロウは顔を赤くして、思わずうつむいた。


「……なんだよ、それ。」




だが、考えている暇はなかった。今日は三回戦の日だったのだ。




会場は前回までとはまるで違う熱気に包まれていた。残り百人の戦士たち。控室には緊張とざわめきが渦巻く。


その中で、すでに多くの者が「アイスデン・クロウ」という名を知っていた。




クロウはいつものように落ち着いた様子で身体をほぐし、深く息を吸い込む。ポケットから取り出したのは、残りわずか二千ジャック。迷うことなく、それを自分に賭けた。




「やるしかない……。」




MCの声が高らかに響く。


「次の試合! アイスデン・クロウ 対 タナカ・ハルト!」




クロウが闘技場に姿を現すと、観客席から大歓声が湧き上がった。すでに彼の名は会場に知れ渡り、多くの声援が飛ぶ。だが、対面するハルトにもまた多くの支持者がいた。




「……タナカ・ハルト? 聞いたことのない名だな。」


クロウは心の奥で油断していた。




開始の合図と同時に、クロウは迷わず突っ込む。速攻で仕留めるつもりだった。




だが──




ドォン!!!




轟音とともに爆炎が巻き起こり、クロウの身体は吹き飛ばされた。




「なっ……爆発だと!?」




辛うじて立ち上がりながら、クロウは状況を理解する。


「奴の能力は……“爆破”か。ならば、近づくのは危険だ。」




すぐさま彼は構えを取り、電撃と炎を纏う必殺の雷火の弓を展開する。




だが、ハルトは一歩も動かないまま、無数の木の矢を射出した。




「くっ!」


クロウは横に跳んで回避する。




しかし──




ドォン!!!




着地した瞬間、再び爆発。クロウの身体は宙を舞う。




「ぐっ……なんでだ!? あいつは動いていないのに!」




さらに背後でも爆発が起きる。観客席は悲鳴と歓声で揺れる。




「まさか……あの矢そのものが爆弾なのか!?」




クロウの心に、強烈な危機感が走った。


この戦い、決して容易には終わらない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ