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やがて、第3回戦の抽選会の日がやってきた。


大きな会場の空気は、緊張と期待で張りつめていた。第2回戦を勝ち抜いた出場者たちが顔を揃え、それぞれが異なる表情を浮かべている。自信満々に胸を張る者もいれば、顔を伏せ、両手を強く握りしめて、強敵と当たらないよう祈る者もいた。




クロは大きくため息をつき、ゆっくりと会場に足を踏み入れた。


彼は他の者とは違っていた――家族も、友人も、応援してくれる知人もいない。すべてを一人で向き合わなければならない。抽選だって、誰かに代わってもらえるわけではないのだ。




「めんどくさいな…」クロは肩をすくめ、人混みの中をすり抜けていった。




司会者が次々と名前を読み上げる声が響く。まだ自分の番は当分先だと感じたクロは、その場を離れ、近くの広場をぶらつくことにした。




辺りには食べ物の香ばしい匂いが漂い、威勢のいい呼び声が響いていた。クロは串焼きを数本と菓子を少し買い、ゆっくりと歩きながら食べた。時折、視線を屋台に向けると、そこには様々な小物や道具が並んでいた。




ふと、一枚の看板が彼の目に留まった。


「筋力訓練用ベスト ― 5kg ― 特殊効果:着用中は透明化」


売り手はそれをまるで希少な宝物のように誇らしげに宣伝していた。値段は 30,000ジャック。




クロは目を丸くした。


「5キロのベストで3万ジャック? ふん…」




頭の中にすぐ、ジェイムからもらった装備の映像がよぎった。あのベストは10kgもあり、しかも全身の防具を合わせればさらに重い。少し考えるだけで、この品よりも価値は倍以上、いや三倍はあるだろう。




「それなのに、あの人はたった2,000ジャックの酒を惜しんでいたんだよな…まったく理解できない。」クロは小さく笑った。




ちょうどそのとき、司会者の声が遠くから響いてきた。


「アイスデン・クロ 対 タナカ・ハルト!」




周囲の観客から特にざわめきもなく、誰も大げさに反応しなかった。


クロは心の中で「まあ、普通の相手ってことか」と軽く考えるにとどめた。




食事を終えたクロは、宿に戻ることにした。途中で新聞を一部買い、部屋に戻ってから読み始める。ところが、最初のページを開いた瞬間、彼の表情は急に険しくなった。




そこにはこう書かれていた。




「ノウヨウ市に謎の集団が出現。


全員が黒いローブをまとい、それぞれ異なる表情の仮面をつけている――笑う者、泣く者、怒る者、冷酷な者…。


彼らは市の隊長一人と兵士40人を虐殺し、詰所を焼き払った。さらに都市を守る魔導士たちを次々と殺害し、甚大な被害をもたらした。街全体は混乱に陥っている。」




クロは新聞を強く握りしめた。


闘技大会の裏側で、世界はますます危険で、混沌としていく。


相手はタナカ・ハルト…だが、その前に、自分が生き残れるかどうかの方が問題なのだ。

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