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007

両手を地面に突き、荒い息を繰り返す。


彼はほとんど力尽きていた。


静まり返った空気の中で、やがて仲間たちの声が響き渡った。


「クロウ!クロウ!クロウ!」


クロウは顔を上げた。


その瞳は疲れ果てていながらも、強い意志の炎を宿していた。


その瞬間から、彼は皆の前で、自分こそが先頭に立つ資格のある存在だと証明したのだった。


その日以来、クロウとリクの兄弟のような絆は、もう以前のようには戻らなかった。


リクはまだついてきていたが、その瞳には日に日に大きくなる悲しみと距離感があった。


クロウの心にも空白があったが、彼はそれを心の奥に押し込めた。


あの決闘の後、クロウは本当に仲間たちの頭となった。


そして、その立場と共に彼の胸には新たな渇望が生まれた。


それは――自分の小さな仲間を守るだけではなく、もっと強く、大きくなり、二度と誰にも踏みにじられない力を持つこと。


その夜、薄い月明かりの下で、クロウは仲間たちにささやいた。


「生き残るためには、防御だけじゃ足りない。


これからは、俺たちが広げていくんだ。


まずは他のガキのグループを倒して、従わせる。


全員を一つの旗の下に集めてこそ、ハゲとその一味に立ち向かえる。」


子供たちは互いに顔を見合わせた。


その目には不安と恐怖が混じっていたが、やがて一人、また一人と頷いた。


クロウの声と瞳には、これまで見たことのない揺るぎない決意が宿っていたからだ。


こうしてその日から、クロウの一味は新たな道を歩み始めた。


血と闇に満ちた道――強き者だけが生き残ることを許される世界へ。


翌日、クロは仲間たちを学校の裏へと連れて行った。


古びた壁の影に身を潜め、教師が教える魔法の技について必死に耳を傾ける。


クロは知っていた。ハゲ頭を倒し頂点に立つためには、力が絶対に必要だということを。


――「これからは、午前と昼はここで授業を盗み聞きするんだ。誰にも認められなくても、耳を澄ませばたくさんのことを学べる。」


クロは真剣な声で言った。


仲間たちは黙ってうなずいた。幼い瞳の奥に、わずかな恐怖と同時に、期待と決意の光が宿る。


午後になると、クロはさらに命令を下す。


――「午後は遠い町へ行く。食べ物を盗み、奪う…生きるためなら手段を選ばない。だが絶対にこの町では盗むな。もし見つかれば、町の人間に追われ、殺されるかもしれない。」


その場の空気は重く沈んだ。子供たちの肩は震えていたが、誰も逆らう者はいなかった。


皆が理解していた。今日からクロが本当に自分たちの“リーダー”になったのだと。


毎日、クロはこっそり学校の裏へと足を運んでいた。


授業の声に耳を傾けながら、彼の視線はふと、先日出会った少女へと向かう。


その少女の名はリン。


クロとは違い、彼女はこの学校に通う正式な生徒だった。


クラスにはリンより美しい少女たちがたくさんいたが、クロの目には彼女しか映らなかった。


リンはいつも真剣に学び、周囲とは違う輝きを放っていた。


クロにとって、ここへ来ることは魔法の知識を盗み学ぶためだけではない。


リンを見ること、それ自体が心の奥で燃える炎を絶やさない力となっていた。


午後になると、クロはいつも馴染みの路地を離れ、遠く離れた町へと足を運んだ。


そこでは食べ物を得るために危険な仕事をしながら、それを戦闘技術を磨く機会ともしていた。


殴り合い、追い詰められた瞬間、そのたびに傷と汗が刻まれていく。


だが同時に、クロは確かに自分が強くなっていることを感じていた。


日を重ねるごとに、彼の戦い方は鋭さを増し、体はしなやかに鍛えられ、瞳には決意が宿っていった。


クロはわかっていた。


これからの道はまだ長く、危険に満ちている。


しかし、一歩一歩、傷一つひとつが、彼を運命を変える者へと鍛え上げているのだ。


実際に、学校での授業はクロにとって大きな強みとなった。


彼は驚くほど速く理解し、ほとんど練習する必要がなかった。


教師の実演を一度見て耳にするだけで、ほぼ完璧に再現できたのだ。


一方で、仲間の子どもたちは必死に努力しても、クロの進歩の速さにはまったく追いつけなかった。


まるで、彼がその力を手にするために生まれてきたかのようだった。


家族を失ってからというもの、クロは常に飢えに苦しんでいた。


空っぽの腹はいつも痛み、止まることのない欠乏を思い知らせてくる。


それだけではない。


彼の背中には奇妙な刻印があり、時が経つにつれてその印は少しずつ広がっていった。


まるで、クロ自身にも理解できない何か大きな秘密を秘めているかのように。


ある晩、仲間たちと町をうろつき、盗みを働いて何とか糊口をしのいだ後、クロはいつもの路地裏へと戻ってきた。


空腹で腹はきしみ、足は棒のように重く、ただ古びた段ボールに倒れ込みたいだけだった。


しかし、その時——クロの足が止まった。


薄暗い街灯の下、あのスキンヘッドの男――これまで何度もクロたちから金を奪ってきた男が、怒声を張り上げて立っていた。


彼の前には、クロと同じ年頃の五人の子供たち。


痩せこけ、ボロボロの服をまとい、震えながら地面にひざまずいていた。


「役立たずどもめ!」スキンヘッドが吠える。


鋭い蹴りが放たれ、ひとりの少年が転げ倒れ、口から血を吐いた。


「一日中動き回って、一銭も稼げんだと?! 俺が飯を食わせてるとでも思ってるのか!」


怒号とともに、平手が飛ぶ。


ぱしん、と乾いた音が響き、別の子供が地面に叩きつけられる。


泣き声とうめき声が、狭い路地にこだまする。


クロはその光景を黙って見つめていた。


胸の奥で炎のような怒りが燃え上がる。


あの五人は……自分と同じだ。家族を失い、ただ生きるために必死にもがいているだけの存在。


それなのに、金を持ち帰れなかっただけで道具のように扱われ、殴られている。


クロの胸が締め付けられる。


拳を握りしめ、指の関節が白く浮かび上がる。


脳裏に声が響いた。


——「もし自分なら……絶対にあいつの前で膝を折ったりはしない。」


その光景は、クロの心に深く刻み込まれていった。

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