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10時間が経った。


ジェイムはゆっくりと訓練場へ向かい、欠伸をしながらつぶやいた。


「ふぅ…せいぜい4時間もてばいいほうだろ。今ごろはとっくにぶっ倒れてるはずだ。」




転移の門を開けて中に入った瞬間、ジェイムの足が止まった。


真っ白な空間には、200体の暴漢と100羽以上の黒い鳥が地面に転がっている。


その中央で、クロウが地面に座り込み、背中を死体にもたれかけ、かすかな息を吐きながら眠っていた。


ボロボロに破れた服、全身に広がる青あざと焦げ跡——それでもその姿は、まるで地獄をくぐり抜けた戦士のように堂々として見えた。




ジェイムは口元を歪めて笑ったが、胸の奥で微かな戦慄を覚えた。


「こいつ……やっぱりただのガキじゃねぇな。もっと早く戻るべきだったかもな。」




彼は瞬間移動でクロウのそばへ。


「おい、ガキ。よくやったじゃねぇか。」




返事はない。


よく見るとクロウは完全に眠り込んでおり、血と汗にまみれた顔が苦しげに歪んでいた。




ジェイムはため息をつき、容赦なく拳骨を落とした。




「ゴツン!」




「いってぇぇぇっ!!」クロウは飛び起き、悲鳴をあげた。


その瞬間ジェイムは彼の全身を観察する。青あざ、焦げ跡、腫れ上がった関節——それでも10時間耐え抜いた。




「……悪くねぇな、ガキ。」


ジェイムは指を鳴らし、2体の分身を呼び出して治療を始めさせた。


クロウの傷がゆっくりとふさがり、呼吸が落ち着いていく。




ジェイムは辺りを見回し、満足げにうなずいた。


「このペースなら30分で回復するな。」




クロウは息を荒げながらも、かすれた声で言った。


「でも……明日が最後の訓練日だ……。」




ジェイムは腕を組み、にやりと笑った。


「問題ねぇ。お前の相手についてはもう聞いてる——かなり強い、炎属性でスピードもある。だが気にするな。お前の課題はただひとつ、絶対に避けられない一撃を作り出すことだ。」




そう言うとジェイムはクロウの肩を軽く叩いた。


「さあ、今日は休め。明日は本番に備えるぞ。」




クロウは黙ってうなずき、再び目を閉じる。


体が癒されていく感覚を味わいながら、頭の中ではただ一つ——


明日は必ず勝つ。

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