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クロウは宿に戻ると、古びたベッドに体を投げ出した。


さっき奪った金をすべて取り出し、一枚一枚数え始める。




「ふぅ……やったな。今回で480ジャックか。これで少しはゆっくりできそうだ。」




天井を見上げながら横になるクロウ。だが数秒後、頭の中に危険な考えがひらめいた。




「待てよ……俺、昔は盗みや騙しで生き延びてきたんだ。わざわざ真面目に暮らす必要なんてあるか?


夜遅くなったらチンピラどもを待ち伏せして金を奪えばいい。金も手に入るし、ついでに鍛錬にもなるじゃねぇか。」




口元がニヤリと歪む。


「そうだな……そっちのほうが手っ取り早いし、強くなれる。」




その日のうちにクロウは400ジャックを使って、一か月分の宿代を前払いした。


これでしばらく路頭に迷う心配はない。




それからの日々、クロウの生活は決まったリズムを持つようになった。




昼は街をぶらつき、小さな本屋で世界の歴史や魔法、各勢力の情報を読み漁る。




夜は月明かりの下、笑みを浮かべた仮面をつけ、暗がりで獲物を狙う。




最初は酔っぱらいや迷い込んだチンピラを狙っていたが、次第に標的は危険になり、


魔力を持つ連中や、魔法戦闘が得意なやつらともやり合うようになった。




時には全身血まみれになり、服もボロボロになる夜もあったが、


その度にクロウは自分の成長を実感した。


動きは速く、打撃は重く、体内を流れる魔力も以前より滑らかに循環している。




やがて街には、笑顔の仮面をつけた「謎の襲撃者」の噂が広がった。


チンピラどもは彼を恐れと憎しみを込めて、**「笑う悪魔」**と呼ぶようになった。




そして、時は流れ、一か月後。


クロウは貯めた金で数か月は生きていけるほどになり、体もさらに鍛え上げられていた。




ある日、次の試合の通知が宿に届く。


紙を手に取ったクロウはじっと目を通す。




「第二回戦 – 開始時刻 午前7時


残り参加者数:200人」




クロウの口元に自信満々の笑みが浮かんだ。




「200人か……面白くなってきたな。今度は誰が俺の前に立ちはだかる?」




ぎゅっと拳を握りしめると、手の中で魔力が淡く輝いた。


その夜、クロウは狩りに出なかった。


部屋の中央に座り、目を閉じて呼吸を整え、


明日の試合に向けて魔力を練り上げていった。



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