037
船が岸を離れてから、わずか一時間も経たない。
波は荒れ、冷たい風が肌を切り裂くように吹きつける。
闇の中、亡命者たちは互いを警戒し、場所を奪い合い、いくつもの派閥に分かれていた。
張り詰めた空気が甲板を覆う。
クロは隅で身を縮め、膝を抱えて座っていた。
彼の望みはただ一つ― ―遠く離れた約束の地、ソララへ辿り着くこと。
だが、その瞬間――
ドンッ!!
突如として、背後の海岸から無数の光が放たれた。
鋭い光が船を貫き、逃亡者たちの心臓を刺し貫く。
「その船、直ちに停止せよ! 政府の命令だ! 貴様ら全員、不法越境の罪で逮捕する!」
群衆は混乱に陥った。
泣き叫び、祈り、ある者は狂ったように叫ぶ。
「戻れるか!戻れば牢獄で殺されるだけだ!」
三時間が過ぎても、船は進み続けた。
だが、海岸光は消えず、魔導拡声器の声が波間に響き渡る。
そして――
轟音が夜を裂いた!
岸から無数の魔法陣が輝き出し、攻撃が始まった。
紅蓮の炎が龍のごとく船に襲いかかり、
海は逆巻き、鋭利な水の槍となって船腹を貫く。
大地の塊、鋼鉄の塊、呪符の紙 hình ảnh
空さえ安全ではなかった。
三つの影が宙を舞う。纏った空挺警官だ。
手にした法具が光を放ち、その瞳は冷酷に輝く。
「反逆者ども! この領土から逃げられると思うな!」
その声は雷鳴のように轟き、船全体を震わせた。
腐りかけた板が悲鳴を上げ、船体が大きく揺れる。
人々は泣き叫び、力ある者たちは武器を抜き、必死に魔法を繰り出す。
だが誰もが理解していた――彼. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
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獄で死ぬ。
魔法に撃たれれば、冷たい海に沈む。
それでも――彼は進むしかない。




