033
煙と埃が静かに消え、四人の不良は地面に倒れたまま動かない。
アカリはまだ震えており、背中を冷たい壁に預けながら、涙で赤くなった目を見開いていた。
クロが歩み寄り、手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
アカリは慌てて顔を背け、涙を拭いながら、いつもの不機嫌そうな声で答えた。
「べ、別に助けてもらう必要なんてなかったんだから! 感謝なんてするわけないでしょ!」
しかし次の瞬間、力尽きた体が崩れ落ちる。
クロがすかさず抱きとめ、心配そうに見つめる。
アカリは唇を噛み、涙がまた頬を伝った。
「……でも……ありがと……」
その声は震え、かすかに聞こえるだけだった。
クロは黙って微笑むと、背を向けて膝を落とした。
「乗れ。家まで運んでやる。」
「なっ!? だ、誰がそんなこと頼むもんですか! わ、私は自分で歩けるの!」
顔を真っ赤にして叫んだアカリだったが、足は震えて一歩も動けない。
結局、彼女は観念したようにクロの背中に身を預けた。
夕暮れの道を歩くクロの肩に、アカリの頭がそっと寄りかかる。
「……ばか。」
小さく呟いたその声には、いつもの棘ではなく――わずかな温もりが混じっていた。




