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032

夕暮れ時、赤い夕陽が長い道を染めていた。


アカリは授業の帰り道をゆっくりと歩いていた。


風に揺れる赤く輝く髪は、通り過ぎる人々の視線を惹きつける。


燃えるように美しいその姿とは裏腹に、瞳には父ガクに似た冷たい誇りが宿っていた。




しかし、その静かな道は突如として破られる。


路地の影から四人の若者が現れ、行く手を塞いだ。




先頭の男は金髪を逆立て、金のチェーンとイヤリングを光らせていた。


にやりと下卑た笑みを浮かべ、アカリに近づく。




「お嬢ちゃん、そんなに急いでどこへ行くんだ? 俺たちとちょっと遊んで行かないか?」




アカリは眉をひそめ、冷たく言い放つ。


「どきなさい。」




振り返ろうとした瞬間、背後には大柄な黒髪の男が立ちはだかっていた。


彼は獲物を狙う獣のような目でアカリを見下ろし、嘲笑する。




怒りに震えたアカリは、手のひらに紅蓮の火球を生み出す。


「触るな!」




だが炎が燃え上がった瞬間、黒髪の男は素早くその手を掴んだ。


冷気が広がり、紅蓮の炎は厚い氷に閉じ込められる。




「ハハ……ずいぶん熱いな。でも冷たい方が気持ちいいだろ?」




炎は必死に揺らめき、やがてアカリの熱で氷を溶かし始める。


だが同時に、残りの二人が木の蔦を生み出し、彼女を壁に押し付けて拘束した。




「大人しくして、俺たちと遊ぼうぜ……」


下品な笑い声が静かな通りに響き渡る。




アカリは必死にもがき、怒りと恐怖で涙をこぼす。


「この卑怯者! 殺せるもんなら殺してみろ! 私は絶対に屈しない!」




金髪の男は口角を吊り上げ、彼女を気絶させようと拳を振り上げる。


絶望の中、アカリは目を閉じ、痛みを受け入れる覚悟をした。




だが――




――ドォンッ!!


稲妻の閃光が空を裂き、金髪の男の目の前に叩きつけられた。




全員が硬直し、目を見開く。


一人は全身を痙攣させ、その場に倒れ込んだ。




屋根の上に、見慣れた影が姿を現す。


クロ――黒い髪を風に揺らし、煌めく瞳と共に、体を包む稲光を纏っていた。




「彼女を離せ。」


その声は冷徹で、まるで雷鳴のように響き渡る。




激昂した金髪の男が突進する。


だが次の瞬間、紅蓮の炎を纏った稲妻がクロの手から放たれ、大地を切り裂いた。


地面が爆ぜ、熱気と焦げ臭いオゾンの匂いが辺りを包み、全員が言葉を失った。




クロはゆっくりと歩み寄り、鋭い眼差しで睨み据える。


「師であるガク先生の娘に手を出すとは……生きて帰れると思うな。」




その言葉と共に、紅き稲光が炸裂する。


瞬く間に四人は吹き飛ばされ、糸の切れた人形のように転げ落ち、苦鳴を上げて意識を失った。

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