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長きに渡る修行の末、クロウが選んだのは――炎と雷。


破壊の炎、そして天を裂く稲妻――その力は二倍、三倍、いや四倍にまで跳ね上がる。


彼は高い鉄の箱の上に立ち、左手をカサキに向け、


右手をゆっくりと後ろに引いた。まるで見えない弓を引き絞るかのように。


「……!!」


掌から眩い光が迸った。


赤く燃え盛る炎と白く輝く稲妻が渦を巻き、一つの――炎雷の矢となる。


その光は空間を震わせ、徐々に伸びていき、ますます巨大になっていく。


バリバリバリ……!!


大地が震え、クロウの足元の鉄箱までもが唸りを上げた。


炎雷の矢はさらに膨れ上がり、その圧倒的な殺気が戦場を覆い尽くす。


カサキとユコンは目を見開き、瞳孔が縮み、息が喉で詰まった。


「……なっ……何だこれは……!?」


「まさか……二つの元素を同時に……融合させただと……!?」


二人はすでに限界を超え、身体は傷だらけ、青い炎と血でボロボロに崩れていた。


だが――その破滅の矢を前に、彼らの胸に残った唯一の感情は、ただひとつ。


それは――恐怖だった。


突如――


ドオオオオオンッ!!!


放たれる前に、雷炎の矢は激しく爆ぜた!


戦場の空は閃光に覆われ、大地は吹き飛び、鉄は震え響く。


クロウの身体は弾丸のように吹き飛ばされ、鋼鉄の壁に激突し、巨大な亀裂を残す。


煙と塵が渦を巻き、熱気がまだ漂う中、


カサキは口元を歪め、冷たく笑った。


「ハハ……結局その程度か。」


勝利を確信したかのように――


だが。


煙が次第に晴れていく。


瓦礫の中から、クロウがふらつきながらも立ち上がった。


全身は血に滲み、呼吸は荒い。


それでも、その瞳は決意の炎に燃えていた。


彼は足元の歪んだ鉄箱の上に立ち、


左手を前に突き出し――


右手をゆっくりと後ろへ引いた。まるで、見えぬ弓を引き絞るように。


周囲の空気が震える。


クロウの掌から、黄金の雷光が生まれ、弦のように張り詰めていく。


「バチ…バチ…バチィィッ!!」


電撃音が轟き、まばゆい光が闇を切り裂く。


圧倒的な力を秘めた光の矢が形を成す。


――だが、今回は違った。


黄金の稲妻が、次第に姿を変えていく。


輝く金色は、やがて冷たい蒼へと染まり――


まるで夜空を裂く嵐のごとき青光が、空間全体を震わせた。


そして、その蒼が極みに達した瞬間――


紅蓮の炎が突如として巻き起こり、蒼雷の矢を包み込む。


焼き尽くすのではなく、絡み合い、共鳴する。


まるで雷鳴と地獄の炎が一つに融け合ったかのように。


ドオオオオンッ!!!


クロウの足元の鉄箱は激しく震え、今にも砕け散りそうだ。


空気そのものがねじれ、炎と雷が絡み合い、


紅と蒼の巨大な矢が生み出される――その威圧感は天地を覆い尽くす。


カサキもユコンも、息を呑んだ。


瞳孔が収縮し、全身が凍り付く。


「……ありえない……!!」

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