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もはや二人は人ではない。


片方は火山の化身、片方は蒼炎の災厄。


その速度と破壊力は人知を超え、天地を揺るがす。


炎が空を覆い、時間さえ止まったかのように、戦場は灼熱の嵐と化した。


煙と塵が戦場を覆い、大地は至るところでひび割れ、血と焼け焦げた肉の臭いが充満していた。


カサキは荒い息をつき、呼吸のたびに弱々しい青い炎を吐き出す。


回復のスキルを無理やり維持しているが、マナは急速に消耗し、全身が震えていた。


彼の身を包む青炎はもはやかつての輝きを失い、むしろクロウが放った炎よりも脆く見えるほどだった。


対するユコンは、全身がズタズタに裂け、皮膚は剥がれ落ち、無数の火傷が体を覆っていた。


呼吸は苦しげに途切れ途切れ、それでもその目にはなおも凶暴な殺気が燃え盛っている。


血が地面に滴り、灰と混じって黒ずんだ水溜まりを作っていた。


二人はまるで瀕死の怪物同士のように、立ち尽くしながらも決して一歩も退こうとはしなかった。


──その時。


戦場の片隅、焼け焦げた鉄くずの山にもたれかかっていたクロウの体がかすかに動いた。


彼は歪んだ鉄のドラム缶に手をつき、重く沈む体をゆっくりと起こす。


その一歩一歩は震え、汗と血が滴り落ちるが、その瞳は徐々に光を取り戻していた。


そして――口元に、弱々しくも決意に満ちた笑みが浮かぶ。


「……まだ、終わっちゃいない……」


その瞬間、血と炎にまみれた戦場に、かすかな希望の光が差し込んだ。


クロウはうめき声を漏らしながら、ゆっくりと高い鉄の箱の上に立ち上がった。


全身は鉛のように重く、今にも崩れ落ちそうだったが、その瞳だけは鋭さを取り戻していく。


その瞬間、師匠の言葉が鮮明に脳裏によみがえる。


「――どれほど多くの属性を操れたとしても……


結局、一つの属性を極めた者には敵わぬ。」


「炎を極めた者は灼熱に耐え、


水を極めた者は深海に潜り、


木を極めた者は自然と共に生きる。


それが“適応”という力だ。」


師匠は常々こう言っていた。


人が最も強く適応できるのは――水・木・炎の三属性。


だからこそ、この三つの系統は古来より発展し、無数の強力な技を生み出してきたのだ。


もちろん他の属性を操る者もいる。だが、適応が乏しいせいで、真の力を引き出せる者はほとんどいない。


あの日、師匠は真っ直ぐにクロウを見つめ、告げた。


「お前も……己の心が真に惹かれる“ひとつ”を見つけよ。


それこそが、お前の力になる。」


だが――クロウは、まだ答えを見つけられてはいなかった。


だからこそ師匠は、別の道を示した。


「もし選べぬのなら……二つを“融合”させよ。


属性と属性を重ね合わせ、常識を超えた破壊を生み出すのだ。」


クロウの拳が強く握りしめられる。


師匠の言葉が胸に響き渡り、心臓を打ち鳴らす。


クロウは何百回もの失敗を経験してきた。


元素を融合しようとする度に崩れ去り、師匠から叱責を受けた。


「……まだだ。お前は本当に相性のいい元素を見つけていない。」


どれほど炎を操るのが上手くても、師匠は決して認めてくれなかった。


その言葉は心に深く刻まれ、消えることはなかった。


だがクロウは決して諦めず、日々修行を重ねてきた。


――そして、今。


クロウは心の中で呟いた。


「ならば……俺は自分の最も得意な二つの元素を組み合わせる!」

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