026
クロの兄貴分も再び戦場に戻ってきた。
もはや退路はない。
全員が拳を握りしめ、**「死闘」**の幕が開けた。
黒クロは、五対一の光景をはっきりと見ていた。
二人の大将は正面からぶつかり合い、蒼い炎が轟々と燃え上がり、空間そのものを焼き尽くそうとしていた。
しかしカサキは、さらに四人に取り囲まれていた――砂、水、氷、ガラスを操る者たちに。
砂の使い手が咆哮し、大地に両手を叩きつける。
無数の砂柱が鋼のように硬く隆起し、鋭く尖ってカサキへと突き刺さる。
水の術者がすかさず手を翳し、砂柱を渦巻く泥の槍へと変化させ、その速度を何倍にも高めた。
直後、氷の術者が印を結び、その泥の奔流を瞬時に凍結させ、死の氷槍へと変えた。
ガラスの術者は冷笑し、透明な破片を数千も生み出す。青白い炎を映しながら宙を舞い、嵐のように鋭利な刃となって渦巻いた。
四つの属性が合わさり、眩い閃光が戦場を覆い尽くす。
大地は震え、空気は唸りを上げ、まるで地獄の門が開いたかのようだった。
「死ね、カサキ!!」
四人は一斉に叫び、必殺の一撃を放つ。
クロは目を見開き、心臓が乱打する。
(まさか……今度こそ本当に……奴は終わるのか!?)
――だが。
ドォンッ!!!
凄まじい爆音が轟き渡る。
四人の放った嵐は、一瞬にして霧散した。
煙の中から、黒々とした腕が伸び、砂と氷の槍を握り潰す。
水の奔流は蒸発し、ガラスの破片は砂のように砕け散った。
混沌の中心から、カサキが悠然と歩み出る。
その体は傷一つなく、ただ瞳だけが奈落のように真っ黒に沈んでいる。
全身から溢れ出すのは魔力ではない。
魂を震わせるほどの、原始的な殺気だった。
「今度は……俺の番だ」
地獄の底から響くような低い声で、カサキが呟く。
彼が大地を踏み抜いた瞬間、地面が爆ぜ、姿が消える。
次の刹那、戦場に絶叫が轟いた――。
蒼い炎をまとったクロウの兄貴が、一直線にカサキへ突っ込む。拳が激しく燃え上がる。
「カサキィィ!! ぶっ潰れろ!!」
カサキは避けない。
奴も拳を握りしめ、黒い炎をまとった拳で真っ向から叩きつける。
ドゴォォン!!
二つの炎拳が激突し、凄まじい熱波が弾け飛ぶ。砂塵を巻き上げ、大地が裂ける。
両者は同時に数歩後退し、腕は焼けるように痛むが、瞳はさらに猛り狂う。
「次は俺だッ!!」 ― 氷の使い手が叫ぶ。
掌から無数の氷矢が放たれ、カサキの右腕めがけて一直線に飛ぶ。
カサキは体を捻り、腕を薙ぎ払う。大半の矢は砕け散ったが、一本が深く突き刺さり、冷たい血が流れ落ちた。
すかさず砂の使い手が地面を裂き、鋼鉄のように硬い砂柱を突き上げ、カサキの脇腹を打ち抜こうとする。
「ガァァッ!!」
カサキが左拳で大地を殴り砕き、砂柱は粉々に散った。
休む暇もなく、水流が津波のように押し寄せ、全身を飲み込もうとする。
「ヌオオオッ!!」
黒炎が爆ぜ、水は沸き立ち、白煙が戦場を覆う。
「そう簡単にはいかねぇぞ!!」 ― 背後から水晶の剣が煌めく。
カサキが身を捻り、肘で弾き飛ばす。だが肩口に深い傷が走り、鮮血が服を染めた。
誰一人引かない。
炎拳は炎拳とぶつかり、氷矢は肉を貫き、砂は大地を砕き、水は全てを呑み込み、水晶は流星のごとく降り注ぐ。
戦いは今や真正面からぶつかり合う嵐となり、一撃一撃が命を奪うほどの重みを持っていた。




