014
黒は静かにリクの亡骸を抱きかかえ、赤く充血した目で重い足取りをしながら自分の古い家へと戻っていった。夜明け前の闇の中、家のすぐ隣に墓を掘り、リクをそっと横たえた。
時はゆっくりと流れ、やがて空が白み始め、雨も止んだ。黒は小さな墓の前にじっと座り込み、血と土にまみれた両手を握りしめたまま、長い間動かなかった。
戦いの場へ戻ったとき、黒は無表情のまま太った男の背に腰を下ろした。仲間の少年たちはすでに目を覚まし、恐怖に顔を引きつらせていた。黒は彼ら全員を縄で縛り上げ、刃のように鋭い声で告げた。
「お前たちに選択肢は二つだ。
一つ――このデブのようになるか。
二つ――俺についてくれば、一日三度の飯があり、飢えに怯えることはない。
それが嫌なら……こいつと同じ運命を辿れ。」
少年たちは震え上がり、互いに顔を見合わせた。その視線の先、デブはすでに両腕両脚を失い、涙に濡れた目だけを動かしていた。声を発することもできない。音の力を酷使したせいで、喉は潰れていたのだ。
黒はさらに冷酷に言い放った。
「俺について来たいなら、今日ここで……六人全員、この男を殺せ。」
一人の少年が震えながら一歩踏み出し、口ごもった。
「だ、だいか……」
言葉を言い終える前に、黒の拳が炸裂した。
少年の体は壁に叩きつけられ、壁は粉々に砕け、血が床に飛び散った。
黒の瞳は氷のように冷え切り、唇から鋭い声が落ちる。
「誰が、お前の大将だ? 俺か?」
黒は歯を食いしばり、デブの頭を踏みつけ、低く唸った。
「お前は……俺の仲間を殺した。その血の借りは……血でしか返せない。」
場の空気は重く淀み、息を詰まらせるほどの沈黙が広がった。
誰一人声を発せず、聞こえるのは少年たちの早鐘のような心臓の鼓動と、震える呼吸だけだった。
奴らはついに飛びかかり、ありとあらゆる技を繰り出した。どうやら黒クロの隊に加わる覚悟を決めたらしい。
クロは手を銃の形にして構えると―― バン! ――炎を纏った雷光が放たれ、肥満の男の頭を貫いた。奴は即死した。
クロは冷たく命じた。
「財産を全部持って帰れ。俺の家にだ。」
こうしてクロの仲間は十五人にまで増え、立派な集団となった。皆は戦利品を抱えて帰り、長い疲労の末、ようやく眠りについた。クロの身体は休息によって回復したが、親友リクを失った悲しみだけは消えなかった。
翌日、クロは美優ミユの学校へ走り、彼女に会いに行った。ちょうど下校の時間で、校門から大勢の生徒があふれ出していた。クロはその中で、じっと彼女を待っていた。
ミユは彼を見つけると、驚いて駆け寄ってきた。
「えっ?どうしてここに?…あの時、家まで送ってくれてありがとう!」
クロは少し照れながらも、心の奥底で温かさを感じた。
しかし、その喜びはすぐに打ち砕かれた。
ミユの友人である二人の少女が近づいてきて、彼を上から下まで睨みつけ、囁くように言った。
「この人、誰?…臭いし、服も汚いじゃん。ミユ、こんなチンピラみたいなのと関わらない方がいいよ。」
クロの胸は締め付けられるように痛み、心臓がぎゅっと潰れる思いがした。
ミユは友達の言葉を気にせず、じっとクロウを見つめていた。
「でも……どうしてここに来たの?ねえ、クロウ、あなたはどこの学校に通っているの?」
クロウはうつむき、声を震わせながら口ごもった。
「……おれは……学校に通っていない。」
その瞬間、ミユの友達たちは大声で笑い出した。
「え、本当?学校にも行ってないの?やばすぎ!」
「見れば分かるよ、ただのストリートのクズじゃん!」
嘲笑が校門いっぱいに響き渡る。クロウは拳を強く握りしめ、胸が裂けるように痛んだ。
だが、ミユの瞳だけは優しく揺れていて、彼から逸らすことはなかった。
その出来事のあと、ミユの友達に対する黒クロの心の中には、どうしようもない不快感が渦巻いていた。
ある夕方、一人で静かな道を歩きながら、クロは服を強く握りしめ、心の中で固く誓った。
「もう二度と……誰にも見下されはしない。」




