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日曜日の朝。
ハタミット高校は静まり返っていた。
普段、日曜日に生徒が来ることはない。
だが——
今日の空気は違っていた。
クロは困惑したまま校門をくぐる。
「……今日が試験日? なんで日曜日なんだ?」
グランツに選ばれた少数だけが参加すると、そう思っていた。
しかし、次の瞬間——
クロは足を止め、目を見開いた。
「……なんだ……これ……」
訓練アリーナが——
人で埋め尽くされていた。
十人でもない。
五十人でもない。
三百人の生徒。
全員が戦闘用ユニフォームを着込み、
その瞳には炎のような闘志が宿っている。
そのとき、アリーナ全体に大声が響いた。
「候補者諸君、ようこそ!
本日、三百名の中から“たった一人”だけが——
グランツ・ヘルガードの弟子となる資格を得る!」
ざわめきが爆発したように広がる。
「さんびゃく……?」
クロは呟いた。
「どうしてこんなに……?」
隣の生徒が笑った。
「知らねえの? グランツは怪物だぞ。弟子になりたいやつが、他校からも殺到してるんだよ。」
別の生徒も言う。
「グランツに教われるなら命を賭けるってやつばっかだ。」
クロはごくりと喉を鳴らした。
これが本当の規模。
グランツは“有名”ではなく——
伝説だ。
⭐ 第一試験開始
審判が前に出る。
「これより五段階の試験を行う。
第一段階を開始する!」
三百体の機械人形が運び込まれる。
巨大な金属の騎士。ダメージを自動計測する仕組みだ。
「この人形に与えたダメージを競う。
上位150名が第一試験通過だ。」
クロは軽く頷いた。
単純な試験……そう思った。
——だが。
BWEEEEET!!
審判が笛を吹いた瞬間。
世界がひっくり返った。
⭐ アリーナ、大爆発
笛の音と同時に——
BOOOOOOM!!!
魔法が一斉に暴発した。
悲鳴が響き渡り、
風刃が空を斬り裂き、
火球が地面を焼き抉り、
雷撃が空間を跳ね回り、
大地が隆起し柱となる。
「どけぇぇ!!」
「邪魔すんな!!」
「絶対通過してやる!!」
「俺の未来だ!!どけえ!!」
そこは混沌。
試験ではない。
戦場だった。
生徒たちは“仲間”ではない。
敵だ。
未来のために。
グランツのために。
のし上がるために。
クロは愕然とした。
これが……競争のレベル……?
巨大スクリーンに最初の合格者が表示される。
[60名通過——経過時間:3秒]
「……3秒……?」
クロは絶句した。
最初の60人は、自分の人形を一瞬で粉砕していた。
純粋な暴力だけで。
考える暇もなく——
風刃がクロの顔めがけて飛んだ。
「退け!!死にてぇのか!!」
クロは反射でしゃがみ、転がり、前へ走る。
背後で火球が爆発する。
もう時間はない。
クロは自分の人形へ手を当てた。
影が震える。
耳元で声がした。
「——使え。」
クロの目が鋭く光る。
制御された魔力が手のひらからほとばしる。
PAAANG!!!
人形が粉々に砕けた。
スクリーンが更新される。
[61位 通過]
Name:Kuro
クロは息を吐いた。
「……危なかった……」
周囲を見渡す。
すでに百人以上が脱落していた。
燃え、凍り、倒れ、意識を失っている。
これは試験ではない。
生き残りだった。
クロは理解する。
三百人の中には——
怪物級の天才が、何十人もいる。
握りしめた拳が震えた。
「……これは地獄だ……」
しかし——
胸の奥では血が沸騰していた。
影が囁く。
「いい。
見せろ。
見せつけろ。」
クロは顔を上げた。
150名が残った。
試験はまだ四つ残っている。
そして、そのどこかで——
グランツ・ヘルガードが見ていた。




