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クロがハタミット高校に入学してから、すでに四週間が経っていた。


毎日は訓練と学習、そして絶え間ない魔法の授業で満たされていた。

最初はついていけるか不安だったが――すぐに誰もが気づいた。


クロは、異常なほどの速さで成長していた。


わずか一ヶ月で、クラス1A2の全ての魔法書を読み尽くし、

高度なルーン構築、マナ圧縮、元素融合――そのすべてを理解してしまったのだ。


教師たちは驚き、生徒たちは廊下で彼の名前をひそひそと囁いた。


「あのクロって子、1A2の魔法を全部覚えたらしいぞ…」


クロ自身は傲慢ではなかった。

ただ、どこか余裕のある眼差しが、他の者にはそう見えただけだ。


教授リアスでさえ言った。

「もしこの調子なら、1A1クラス…いや、もしかすれば2A4にさえ昇級できるかもしれん。」


決闘の始まり


だが――全員がクロの成長を喜んでいたわけではない。


1A1の生徒、ハルキ・ランゼル。

“炎の頂点”と呼ばれる強力な魔法使いであり、誰よりも誇り高かった。

そんな彼は、クロの存在を快く思っていなかった。


ある日の放課後。

クロが中庭を歩いていると、ハルキが数人の取り巻きを連れて現れた。

赤い髪が夕陽に照らされ、指先には小さな炎が踊っていた。


「おい、天才坊や。」ハルキが冷たく言った。

「お前、自分が1A1に上がれると思ってるらしいな。なら今ここで証明してみろよ。」


クロは足を止め、ゆっくりと振り向いた。

「別にそうは言ってないけど…君が望むなら、受けて立つよ。」


「上等だ。」ハルキが笑う。

「正式な決闘だ。俺の炎と、お前の力で勝負だ!」


瞬く間に生徒たちが集まり、興奮した声が上がった。

1A1と1A2の決闘――滅多に見られない光景だ。


アルカイン闘技場


その夜、決闘はアルカイン闘技場で行われた。

宙に浮かぶ魔法陣が輝き、観客席には教師と生徒がぎっしりと並んでいた。


教授リアスが声をかける。

「クロ、ハルキの炎は二千度を超える。油断するな。」


クロはうなずいた。

「大丈夫です。」


試合が始まると同時に、ハルキの体から赤いオーラが溢れ出た。

右手を振り上げ、叫ぶ。


「ブレイジング・メテオ!」


巨大な火柱が天から降り注ぐ。

熱風が観客席まで届き、生徒たちは思わず顔を覆った。


だがクロは、一歩も動かなかった。

彼の周りに黒と青のオーラが静かに広がる。


火球が目前に迫った瞬間――クロが低く呟く。


「マナ・コラプス。」


炎の隕石は音もなく消え、光の粒子となって散った。


反撃


観客席がどよめく。

誰も、ハルキの最強魔法が一瞬で消されるとは思っていなかった。


クロは静かに右手を上げ、空中に複雑な魔法陣を描く。

その輝きは、蒼く、そして恐ろしく美しかった。


「君の炎は強い。でも…力には制御が必要だ。」


クロの瞳が光る。


「アストラ・ヴェイル:ゼロ・ノヴァ。」


青白い光が一気に広がり、ハルキの炎を飲み込む。

爆風が過ぎ去った後、ハルキは片膝をつき、息を荒げていた。


観客は息をのむ。

教師たちも、言葉を失った。


クロは手を下ろし、静かに言った。

「証明なんて、もう必要ない。ただ、学びたいだけだ。」


彼は背を向け、闘技場を後にした。

魔法陣の光が、ゆっくりと消えていく。


その夜


夜、学校中に噂が広がった。


「クロがハルキを倒したらしい!」

「あの“ブレイジング・メテオ”を素手で止めたって!」


だがクロは気にしなかった。

部屋に戻り、机の上の魔法書を見つめる。


まだ知らないことが山ほどある。

魔法の真理、あの声の正体、そして自分の過去。


クロは目を閉じた。

胸の奥で、小さな予感が灯る。


――本当の試練は、これから始まる。

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