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翌日、クロはナオミの手がかりを探そうとした。
だが、彼女はまるでこの世から消えたかのように、跡形もなくいなくなっていた。
彼はあらゆる人に尋ねた――店の主人、橋のそばの老婦人、道で遊ぶ子どもたちにも。
だが、返ってくる答えはどれも同じだった。
「ナオミ? 見ていないね。」
日が経つごとに希望は薄れていき、ついにソララへ戻る前日になった。
その夜の夕食時、クロは黙って皿を見つめていた。
その顔はどこか疲れ、そして寂しげだった。
ガク先生が気づき、優しく声をかけた。
「クロ、どうしたんだい? 何か悩みでもあるのか?」
クロはかすかに微笑んだ。
「いいえ、先生。ただ…明日、ここを離れなければならないんです。
この村が恋しくなりそうです。」
だが心の中では、ナオミのことしか考えていなかった。
――どこへ行ったんだ、ナオミ。どうして何も言わずにいなくなったんだ。
アカリはテーブルの向かい側に座り、静かにクロを見つめていた。
彼の笑顔がどこか空虚で、目を合わせようとしないことに気づいていた。
そして心の奥で悟った――自分は彼に恋をしてしまったのだと。
優しくて、勇敢で…そして、あまりにも魅力的な人に。
その夜、クロは眠れなかった。
窓辺に立ち、外の雪を見つめながら、ナオミの笑顔や声、ぬくもりを思い出していた。
拳を握りしめ、静かに呟く。
「必ず見つける…どこにいても。」
翌朝、空は薄く冷たい色をしていた。
クロは荷物をまとめ、最後にナオミの家を訪ねた。
扉は閉ざされ、窓には霜が張りついていた。
彼は門に手を置き、静かに言った。
「さよなら、ナオミ。君がどこかで無事でありますように。」
そして背を向け、飛行場へと歩き出した。
ハリーはすでに銀色のジェット機のそばで待っていた。
その機体は四つのエンジンを持ち、青く光る尾翼が輝いていた。
クロを見ると、ハリーはにこやかに手を振った。
「やあ、坊主! 旅はどうだった?」
クロは小さく笑い、何でもないように答えた。
「…悪くなかったよ。」
ハリーは少し眉を上げたが、それ以上は何も言わなかった。
「よし、ソララへ帰るぞ。今日は天気もいい。」
ジェットのエンジンが唸りを上げ、滑走路を勢いよく走り出す。
クロはハリーの隣でシートベルトを締め、窓の外を見つめた。
そして手には、白いマフラー――ナオミのマフラーを握りしめていた。
小さく呟く。
「ナオミ…また会おう。必ず。」
太陽の光が翼に反射し、地平線の向こうで眩しく輝いた。
こうして、クロのソララへの旅が再び始まったのだった。




