011
私のブックマーク
「こいつに… 好き勝手はさせない!!!」
子供たちが絶叫し、全員が立ち上がった。
その瞳には決死の覚悟が宿っている。
「リク、水を出せ!」
「任せろ!!!」
リクが歯を食いしばり、両手を掲げる。
その瞬間、濁流のような水流が迸り、崩れた建物を満たした。
直後、仲間たちが魔力を絞り出す。
「雷撃――ッ!!!」
バリバリバリィィィンッ!!!
眩い稲妻が水に落ち、巨大な電流の檻となって大男を包み込む。
「グォォォォォッ!!!」
巨体が震え、皮膚が焼け焦げる。煙が立ち上り、赤い目に苦痛が走る。
「効いてるぞ!!!」
誰かが叫んだ。希望が胸に灯る。
だが――
「ククククッ……」
雷に焼かれながらも、大男はゆっくりと顔を上げた。
唇が吊り上がり、凶悪な笑みを浮かべる。
「悪くない…だが足りん。」
ドォォォォンッ!!!
拳を握り締めた瞬間、全身から轟音の衝撃波が炸裂した。
「グガァァァァンッ!!!」
稲妻の檻は粉々に吹き飛び、水は霧散する。
子供たちは悲鳴を上げ、血飛沫を撒き散らしながら四方八方へ吹き飛んだ。
「ぎゃあああッ!!!」
「うわぁぁぁぁ!!!」
小さな体が壁に叩きつけられ、瓦礫に沈む。
骨の砕ける音が不気味に響き渡った。
やがて残るのは、弱々しいうめき声だけ。
子供たちは地面に転がり、目に絶望を浮かべたまま動けなくなった。
その中で――大男はなおも仁王立ちしていた。
煙に包まれた体、唇の端に浮かぶのは獲物を狩る獣の笑み。
「小僧ども……それが限界か?」
バキッ! バキッ! バキッ!
瓦礫に響く音は、まるで死神の太鼓のようだった。
鉄の棒がリクの頭に振り下ろされる。
一撃、二撃……三撃。
「ぐっ…がはっ…!」
幼い顔を鮮血が覆い、赤い川となって頬を流れ落ちる。
視界は揺らぎ、今にも閉じそうな瞳を必死に開け続ける。
十回。二十回。三十回――。
殴られるたび、骨の砕ける音が不気味に鳴り響き、頭蓋が揺さぶられる。
残された子供たちは震え、泣き叫ぶしかできない。
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