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ドンッ!!

冷気がレンツの体から爆発するように広がり、闘技場全体を包み込んだ。

一瞬にして氷がすべてを覆い尽くす――草も花も、動物の幻影までもが氷像となり、青白い光を反射して砕け散った。


観客席は静まり返った。

誰も声を出せない。

その力は――若き魔法士のものとは思えないほど圧倒的だった。


しかし、ウラシはまだ立っていた。

両手を組み、目を閉じて集中すると、背後に魔力が渦を巻く。


「まだ終わりじゃない、レンツ!」


次の瞬間、彼の後ろから巨大な獣の群れが現れた。

狼、虎、熊――そして数多の魔獣たちが咆哮し、怒涛の勢いでレンツへと突進する。


観客は立ち上がり、歓声と悲鳴が入り混じる。


だがレンツはただ目を細めて呟いた。

「……幻覚か。」


軽く手を振ると、掌から冷気の波動が放たれた。

群れが氷の領域に触れた瞬間――粉々に砕け散り、霧のように消える。


「単純すぎるな、ウラシ。」


レンツが言ったその時、地面が激しく揺れた。

周囲の四方から四つの魔力球が放たれ、紅蓮の光を放ちながら迫ってくる。


レンツは口元を歪めた。

「なるほど……幻影で目を欺き、本命はこれか。」


両腕を広げ、氷の結界が身体を包む。

魔力球がぶつかった瞬間、すべてが凍りつき、空中で砕け散った。


「やるな……だが、まだ甘い。」


その直後、背後からウラシが飛び出し、土の剣でレンツの首を狙う。

だが――そこには誰もいなかった。


「えっ……後ろ!?」


冷たい手が首を掴んだ。

ウラシの体が引き寄せられる。


レンツは背後に立ち、氷の瞳で見下ろしていた。


「知らないと思ったか……?」

その声は低く、重く響く。

「お前が父親のコネで弱い相手ばかりと戦ってここまで来たこと、全部知ってる。だがな――」


手の力が強まる。冷気がウラシの体を這い上がっていく。

「――俺には通用しない。」


バキィィン!!!


氷が爆ぜ、ウラシの体を一瞬で包み込んだ。

頭部だけが露出し、恐怖に引きつった目が揺れる。


その時、大地が揺れ、数体の岩の巨人と土の剣が現れ、レンツへ突進してきた。

彼は一瞬驚いた。

「……幻じゃないだと!?」


しかしレンツはすぐに手を振り下ろし、氷の波動を放つ。

巨人も剣も、すべて氷像となって砕け散る。


煙と氷の欠片が空を舞う中、レンツは静かに歩み寄り、凍りついたウラシを見下ろした。


「終わりだ。」


右手を上げると、巨大な氷の剣が現れ、青白い光と共に冷気が闘技場を包む。

振り下ろそうとした瞬間――


「ストップ! 試合終了!」


審判の声が響いた。


「勝者――レンツ・ハタカ!」


観客席が爆発するような歓声に包まれる。

ウラシは意識を失い、氷に覆われたまま倒れていた。


レンツは剣を消し、静かに背を向ける。

白い髪が風に揺れ、冷気の中で輝いていた。


その背中を見た者たちは、皆同じことを思った。


「この男は……本物だ。」

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