第8話 緊急事態。
「・・・エーミール。うふふっ。やあね。どこ触ってんのよ?」
「・・・・・」
「まあ、キス?うふふっ。嬉しい。はいはい。続きはお部屋でね。」
「・・・・・」
(キス?キスって言った?まじか?俺だって…眠ってしまったソフィーアの髪にしかしたことないぞ!!!ど、どこ触ってんだ???続きって…続きってなんだ???)
「フランツ。離れに行く。」
「え?この時間からですかい?」
「すぐ行く。開けさせろ。」
「へいへい。」
衛兵に、屋敷と離れを隔てる門を開けさせる。
先に行ったフランツが、離れの執事と何やら話している。
寝間着にガウンのままだが、構っていられない。
「ソフィーア!!!」
ドアをノックもせずに開ける。
ソフィーアがラグマットの上に座っていた。すぐわきに、いくつかお皿の乗ったお盆。夕食を一緒に食べてた?
びっくり眼のソフィーアが俺を見上げる。
「どうしたの?アレクシス?こんな時間に?緊急事態?」
「き、緊急事態だ!!エーミールを出せ!」
「え?エーミールが?緊急事態なの?」
「・・・・・」
「まあ。変な人。エーミール、おいで。」
「・・・・・」
チッ。隠れていたのか。
姿見の影から姿を現したのは…。
・・・猫????
「まあ、エーミール、びっくりしたわよねえ。この人突然くるんだものねえ。」
真っ白のふわふわした…子猫???
座っている寝間着姿のソフィーアによじ登っている。
「やあん。くすぐったいわ。エーミール。」
「・・・え?」
「それで?緊急事態って何?」