第7話 呼び出し。
「フランツ。モニカを呼べ。」
絶叫で目覚めた殿下は、何かにとりつかれてんじゃね?
そう…。ここ十数年の間、1週間以上二人が離れていたのって…無いな。
風邪も一緒に引くし、学院も一緒。視察も一緒。ソフィーア様のおじいさまの葬儀も一緒に行った。
自分で蒔いた種とはいえ、ダメージが大きいみたいだな。さっさと謝ればいいのに。
「お呼びでしょうか?アレクシス殿下。」
程なく来たモニカは、機嫌が悪そうだ。まあ、全面的に殿下が悪いからな。
「ああ…。あ、元気か?」
「はい。私は元気でやっておりますが?」
「あ…そうか。」
モニカが、ちらっ、と私を見る。
「何の御用でしょう?」
「あ、あのな。離れに来客はあるか?」
「客?いえ。ソフィーア様は療養中でございますので、誰も入れてはおりませんが?」
「・・・そうか。その…ソフィーアが眠る時も見ているんだよな?」
「はあ?はい。私は控室におりますし。」
「その…夜になると話声がするんだがな。何か…隠し立てはしていないか?」
「・・・殿下?私の生まれ故郷のことわざですがね、猫を追うより皿をのけろ。」
「?」
「根本的に解決するためには、猫を追い回して責め立てるより、取られたくなかったら皿を片づけろ!っていうことです。」
「・・・・・」
「原因への対策が大事、ってことでしょうかね?」
「・・・・・」
「では、大した御用でもなさそうなので、失礼いたしますね。」
「・・・・・」