第6話 悪夢。
「・・・ねえ、もう一緒に暮らさない?ね?」
「・・・・・」
「大好きよ。大事にするから。ね?それとも…どなたかいるのかしら?」
「・・・・・」
(・・・え?俺、ついに捨てられた?)
膝から崩れ落ちる。
「殿下あ?何してんですか?ズボンが汚れまっせ。」
「・・・・・」
「殿下?」
「・・・・・」
フランツが腰が抜けてしまった俺を引きずって部屋に入れた。
「しゃんとしてくださいよお。猫背になってますぜ?」
もう…。ダメだ。
ソフィーアがにこやかに手を取って部屋に俺を招き入れる。
「一緒に夕ご飯を食べようかと思って待っていたのよ?あら、手にインクが付いてるわよ?今、拭いてあげるからね。」
・・・ニンジンが苦手な俺の口に、問答無用でニンジンを突っ込む。
あーん、して!自分も大きな口を開けている。可愛い。ソフィーア。
若草色の瞳が、俺を映している。
「今度のお休みはどこかに行く?ああ。あそこの視察ね。いいわね。行ってみないと解らないこともあるものね。」
・・・ああ、俺たちのデートって、いつも視察だったな。
帰り道は並んで座って、いつも先にソフィーアが眠ってしまう。はちみつ色の髪があごにかかる。すりすりしているうちに、俺も眠ってしまう。
「私、この方と生きていくことにしたんです。うふふっ。」
誰?エーミールって男と?
「さようなら、アレクシス。」
男に肩を抱かれたソフィーア。
パタリ、と窓が閉まる…。
「うああああああああああ!!!!」
「なんすか?殿下?朝っぱらから?」
え?夢?