4/9
第4話 眠れぬ夜。
「昨日はどうしたの?心配したのよ?エーミール。」
「・・・・・」
「来てくれて嬉しいわ。入って。今日は夕食も用意して待っていたのよ?」
「・・・・・」
(うああああああああああ!!!!)
壁に押し付けていた耳が痛い。
何やってんだ、俺?
「一体、この前から何なんですか?殿下?」
「・・・・・」
いや。さすがのフランツにも言えない。ふ…不名誉な事だろう?
婚約者が浮気しているなんて。こ、この俺が、婚約者に浮気されるなんて…。あり得ないだろう?あいつは王太子の、俺の婚約者だぞ?う、浮気なら…。いやむしろ、これは…不貞行為に及んで…うあああああ!。こ、婚約解消してやるだけだがな…。
いや、なんと言うか…。エーミール、って誰?
「暇なら、仕事してくださいよ。終わりませんぜ。」
「・・・・・」
「とりあえず、お茶を入れたのでどうぞお。」
「・・・・あちっ。」
お茶、熱すぎるよ??
「殿下はそう言えば猫舌でしたねえ。いつもはソフィーア様が直々にお茶を入れるので忘れてましたわ。」
「・・・・・」
俺、今日も眠れそうにない。