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走る

走る

 私は走るのが遅かった。高校ではクロスカントリーと言って全校生が山道を走る長距離走が何度かあった。私は足の遅いのを持久力でカバーして中位置をキープした。陸上部の発達した中学校から進学して来たI君が、中学時代に駅伝の強化合宿に参加して学んだ事を教えてくれた。わずか10分位の伝授であったが、私は「目からウロコ」の思いでそれを脳裏に焼き付けた。

それは「早く走る方法というものが存在する」と言うものであった。今でも鮮明に覚えている。

陸上部の経験の無い人の為に主なものを列記してみよう。

1、足で地面を蹴るのはしんどいので忘れる。もう一方の足を前にやればよい。

2、足を前にやるのはしんどいので忘れる。膝だけ上に上げる。

3、足が邪魔なので腿の影に隠して置く。膝が上まで来た時、膝を支点にブランコの様に足を前に解放する。ジャックナイフの様に勢いよく伸ばす。

4、足が地面に着くのは待てないので、もう一方の膝を上げ始める。

5、初めは小股、カーブは小股、疲れたら大股、直線は大股にする。

6、身体のリズムに合わせて息をするが、リズムが早くなると、吸って、吸って、吐いて、吐いてが良い。

7、足を早く動かすのはしんどいので忘れる。手を早く動かす。

8、大股にするのはしんどいので忘れる。手を大きく動かす。

大体こんな感じでした。以上の事を知って、皆さんは早く走れる様になったと思えますか? 私は思えました。と言っても、実際に目に見えて早くなるには数ヶ月かかりました。初めは手足がバラバラの様な感じになりました。辛抱して続けていると、陸上部の部員を除き、長・短距離共、上位になることができました。「なあ~んや」と思ったものです。


この話にも付録があります。

テニスの部活をしていて、暗くなりボールが見えなくなると部員はトラックで400米走の練習をしました。陸上部はすでに練習を終えていました。トラックの奥の方には野球のダイヤモンドが有り、野球部員も同じようにボールが見えなくなるとダイヤモンドを走るので、それに対抗していたのです。私は1分4秒の壁がどうしても破れませんでした。息苦しくて、これ以上早く走ると死ぬと思っていたのです。そして、体育祭当日野球部のエースと対決し、勝利しました。その時のタイムが59秒6でした。私は耳を疑いました。そのタイムなら死ぬはずだと思ったのです。体育祭の終わった後、トラックに残り、テニス仲間に計ってもらいました。同タイムでした。全くしんどくも無かったのです。「なあ~んや」でした。



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