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中国からの使者

中国からの使者


 <江南慕情>のビデオは多方面に配られた。上映会をした翌年の3月頃中国鎮江市から手紙が来た。私たちは撮影の打ち合わせの折、鎮江市の体育館で1万人規模の上映会を1、2週間続ける打ち合わせもしていた。

<承認が降りたので日程を知らせよ>と書かれていた。

 上映の機具とフィルム、10人の製作関係者、1~2名のマスコミ関係者と共に訪中するだけで良かった。上映会が成功すれば、後は「無錫旅情」と同じように日本の全国ネットに乗って行く。

しかし当時は社員に給料も払えなくなり、頼んで辞めて貰っていた。

O社長に相談すると「自分の意思が出せる状態では無い。無視しなさい」と一渇された。

 4月頃、Tテレビの研修生の名刺を持った中国の青年が我が社に訪ねてきた。中国のテレビ局で放映する打ち合わせであった。中国語への吹き替えは中国側でするから費用は要らないと言うのであった。

 なぜ彼が私の居場所を知って、訪ねて来る事が出来たのか、誰からも連絡が無かった。私は当時、金に困っており冷静な判断が出来なかった。それと、研修生と言う肩書きに勘違いが有った。彼は背後にあるテレビ局の意思を伝えに来ていたのに、中国の若者の個人的提案と受け取ってしまった。そして2億円掛けて作った映画なので2百万円位要求しても良いだろうと思った。

話は消えた。直ぐに団長に相談すれば訂正が出来たかも知れないが、当時事業は崩壊状態だった為、誰とも相談しなかった。

「馬鹿だな、その時黙ってOKしていれば別の展開になっていたのに。金等要求する奴があるか」と言われたのは、ずっと月日が経ってからだった。

<なあ~んや、未だチャンスは有ったんだ>

 後の祭りであった。<貧すれば鈍する>の典型例だった。ずっと後に冷静になって振り返ると、私は中国のテレビ局に2億円を要求したのと同じだった事が分かった。



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