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町会長

町会長


 私が午前様時代を終えると町会長の依頼が来た。町会長はある程度の余裕が有る者でないと務まらない。そう思っている会長と副会長が私に頭を下げた。私が毎晩飲み歩いていたので、大変余裕があると思ったらしい。現実は火の車だと言って固辞したのですが、受諾するまで帰らなかった。

 町会長の仕事は先輩に教えられる通りにするだけだったので、それ程難しくはなかったが、葬儀の出席が多いのには驚かされた。それより悩まされたのが、個人的な悩みの相談だった。私たち夫婦は相談事を解決するのは得意だった。ところが、悩み事を解決して貰った人が話を広めて行き、毎日1人か2人、昼夜関係なく相談に来るようになった。2人の子育てをしながら、店の経理と営業を担当し、事件で体を壊していた妻は心身とも休むことも出来ず、とうとうノイローゼ状態になり、子供達を連れて別居してしまった。


 私はその後も町会長を続け、相談にも乗った。

私は事情を話し、「独身の町会長がどこにいるか」と言って役を降ろしてもらえるように頼んだが、聞き入れてもらえなかった。町会長になりたがっている者が、影で私の悪口を言っている事も耳にした。しかし皮肉なもので、なりたがっている者を誰も受け付けなかった。結局実力行使と言うか、行動拒否によって3期目はならずに済んだ。

「なあ~んや、人生どこでどうなるか分からんな」と思った。

 町会長の役から解放されて、私は家族の住む家に引っ越した。



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