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独立

独立


 私は落ち毀れながら会社を替わって行った。それでも給料は人並みにもらい続けた。就職して初めての給料は全額母に仕送りした。会社の寮生活だったので、金を使うことが無かったのです。学費は会社から出して頂いていたのです。私は仕事では余り役に立たなかったので、寮の風呂掃除は一手に引き受けました。

会社は幹部養成のつもりで学費まで出したのですが、私が役に立たなかったので、卒業と同時に栄転の名目で大送別会をして別会社に送り出しました。

 その後、移って行った先々の会社でも、金儲け以外の事では役に立つように努力しましたが、会社を儲けさせる事は出来ませんでした。転々と職場を替わっても母への仕送りは27年間続けました。


 5つ目の職場は不動産屋でしたが、紹介された社長は多角経営をしており、紹介者も業種を知らず、面接の終わり際まで私は何業の会社に入るのか知りませんでした。

 不動産について私が知っていたのは文化住宅の家賃が月1万5000円位でした。自分より若い夫婦が3,000万円のマンションを買うことなど全く想像できませんでした。入社して1週間、理解するのに精一杯で口も効けない状態でした。私はその1週間目に、今日の電話は真っ先に出ようと決めていましたが、電話が鳴ると同時に先輩の女性から「電話出てください」と声をかけられ感狂ってしまいました。そして慌てて受話器に向かって前の会社名を告げました。

 それでも落ち毀れ人生は中断しました。その日の内に小さな契約を成立させました。私は初めて給料以上に儲けられる様になったのです。私はこの会社ならずっと続けられると喜びました。


ところが11ヶ月目に朝礼で社長が先輩に説教をしている時に、先輩側に付いて、しかも独立と言う言葉を使用してしまいました。


「それは言い過ぎです。みんないつ独立してもおかしくない者ばかりです」

「辞めてしまえ!」

社長の叱る相手が私に替わってしまいました。私は独立を決意しました。先輩達の送別会を受けながら、<なあ~んや、又同じや>と思いました。




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