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 家族が又二人に戻ったある日、犬を預かることになった。私達の家と山との間に二軒家があったが、山側の家が犬を飼っていた。生け花の先生をしているお母さんと、チョー美人の娘さんの二人暮らしだった。犬は室内で飼われていたので、私達は犬が居ることも知らなかった。

「3泊の旅行の間だけ犬の面倒を見てほしい」との事で犬の食事代と私達の小使いを受け取った。指示通り散歩はさせたのだが、食事を与えても犬は食べてくれなかった。当時はドッグフード等は無くて、大体人間が食べるものをお裾分けしていたと思う。何を食べさせるべきかの指示は受けていない。我が家は貧乏だったのであまり良い物は食べていない。生け花の先生は金持ちだし、娘さんはチョー美人だ。肌は透き通る様な白さで子供ながらドキッとしたものだ。きっと食事も全く違う物を食べているに違いない。沢山小使いも受け取っているのだから、少しランクを上げようと、今まで食べた事の無いような物を食べ、お裾分けした。しかし犬は食べてくれない。

仕方が無い。考えられるのはビフテキしかない。田舎では何でも売っている訳ではない。当時はコンビニ等在る訳も無い。遠くまで買いに行って、「お犬様、どうか召し上がって下さい」とビフテキをノンカットで差し出しました。お犬様は「フン!こんな不味い物食えるか」と言う態度を採った。


 途方に暮れた私達は味噌汁に入れた出汁ジャコの出汁ガラを与えた。お犬様は美味しそうにそれを食べた。

「なあ~んや、私達は犬に気を使いすぎていたんだ」


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