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第六話 回想(柚菜視点)

ここから数話柚菜視点になります

ちょっと短め

昔からゲームが嫌いだった。


「ねぇママ?これはなあに?」


「これはね柚菜、私の人生よ」


「人生?ママはここにいるよ?」


「そうね。でもこのゲームがなかったら私はパパに出会えてなかったし柚菜を産むことも無かったのよ」


「そうだぞ柚菜!パパはこのゲームでママに出会ったんだからな?出会った時のママと言ったらこれまた......」


「ちょっと?何を言うつもり?」


ママがちょっとだけ怖い声でパパに聞く。


「わーなんでもないなんでもない!柚菜、聞かなかったことにしてくれ?な?」


「うん......」


「よーしいい子だ!」


と言ってパパは私の頭をワシャワシャ撫でてくれる。この瞬間が私はとっても好きだ。


でもそんな時間は直ぐに過ぎ去ってしまう。


「じゃあママ達は試合に行ってくるからね?いい子で待ってるのよ?」


「帰りに柚菜のためになにか買ってきてあげよう!そうだ!お前の好物のいちごとかはどうだ?」


「そんなのいらない」


「ぬ......そうか?ならパパ達が勝手に決めて買ってくるからな?留守番頼むぞー?」


お土産なんていらないのだ。ーーーーー私が欲しいのはただ1つ。


私以外誰もいなくなった家で少し泣きながら私は言葉を零す。


「パパぁ...ママぁ...もっと一緒にいてよ......なんでそんなゲームを優先しちゃうの......」


私の声は、誰にも届かない。


ーーーーーーーーーそれから僅か数十分後の出来事だった。


ーーーーーパパとママが交通事故にあったのだ。


パパは腕が1本動かなくなっちゃったみたい。ママはなんともないみたいだけどとっても辛そう。


その日から、パパとママは私といる時間をとっても増やしてくれた。パパとママがいつも一緒にいてくれるのは嬉しい。でもよく分かんないけど悲しい気持ちになる。


ある日、私は言ってはいけないことを言ってしまった


「柚菜、11歳の誕生日おめでとう!」


あの日から1年後、私の10歳の誕生日。これまではママがパパのどっちかがお仕事でいない時ばっかりだったから2人に祝われるのは初めてですが、とっても嬉しかった。


めでたい日で私は浮かれてしまって、パパに聞いちゃいけないことを聞いてしまった。


「ねぇパパ?」


「ん?なんだい柚菜?」


「もうゲームはやらなくなっちゃったの?」


この瞬間、当時10歳の私ですら空気が凍りつく感触を感じた。


急に真剣な顔になって黙り始めるパパ。不安そうな様子で私たちの事を見つめるママ

その時の私はその空気が怖くて泣いちゃったけ。それに慌てたパパとママはすぐにいつもの優しい2人に戻ったけど、私はパパに謝りたくて、その日の夜2人がいつも寝てる寝室に行ったんだ。


「ねぇパパ...?いい加減柚菜にホントの事を話した方がいいんじゃない?」


そんな声が聞こえてきて、私は咄嗟にドアに耳を当てて2人の話を聞いた。


「言えるわけないだろ......俺の右手はもう動かなくなっちまって、一生選手として活躍する事はこれからないって...」


初耳だった。パパはそんな事になってたんだと私は驚いた。

引き続き聞き耳を立て続ける。


「俺の全てはお前ら家族とゲームのためにあった。それが片方無くなっちまった今。俺には家族しか残されてねぇ。だから...!だから家族だけは俺が守り抜くんだ...」


「あなた......私も協力するわ。一緒に失ってしまった柚菜との時間を取り戻しましょう」


この話を聞いた後、私は直ぐに自分の部屋に駆け込んでベッドに突っ伏した。


私は最低だ。パパが自分の大好きなものを失ってあんなに苦しんでるのにーーーーー


ーーーーーそれをどこか喜んでしまっている自分がいる。


もっと大好きなパパとママとずっと一緒にいられる。でもそれは2人が苦しんで苦しみ抜いて出した決断なのだ。それなのに私は大好きな二人ともっと一緒にいられるって喜んでる。


自分が嫌になる。


その後の私はどんどん変わっていった自覚がある。


これ以上自分も相手も傷つけないために誰にもなびかない態度をとるようになって、自分の人に甘えやすい本性は恥ずかしいものとして気丈な立ち振る舞いの奥にそっと隠した。


一度だけ両親がやっていたゲームをプレイして見た事がある。その時のプレイで入手したスキル?って奴がとっても珍しいものらしくて、国内では敵無しとまで言われた両親の影響もあってかあっという間に高校への推薦が決まってしまった。


両親はとても喜んでくれた。でもその眼差しはどこか自分達が出来なかったことを私に託すようなものを感じて、少し嫌になる。


私そんなこと望んでない。いつか自分の本心を打ち明けて、それでも私を認めてくれる男の子に出会って、恋に落ちる。そんな人生を送ってみたい。でも私に拒否権なんてない。あの日から私の本心は隠しきるって決めたんだから。


そんな私にも1つポリシーとして持っいるものがある。


ーーー目の前に困っている人がいたら何か考える前に助ける事


かつての過ちを繰り返さないように。助けたあとのことなんてその時考えればいい。私はどうなってもいい。


もう一度言おう。


ーーー私、一条柚菜は、ゲームが、嫌いだ。



柚菜ちゃんはいつか自分を救ってくれる王子様を待っているメンヘルなぴゅあぴゅあ乙女です。かわいいね

こういう子はデレてからものっっっすごく可愛いってそれ()



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