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第十四話 蹂躙

今日は4話程度更新します


カウント0秒。予め決められたスポーン地点にスポーンしたgustoneの頭を高威力スナイパーライフル<shocker>から放たれた銃弾が撃ち込まれる。


奴のサブスキルからすると、一発で仕留めるのは先ず不可能だろう。しかし致命傷を与えることは可能だ。


恐らく奴はこの後、防衛のためにアルティメットスキルである巨人化を使用するだろう。


プレイヤー分析サイトには記述がないが、オンラインオフライン問わず競技で戦い続けた経験がある俺には分かる。


ーーー奴は、耳がいい。


耳がいいという事はなにも一概に人より音が聞こえやすい、ということでは無い。


こういったFPSゲームにおける、耳がいいという事は、銃声から相手の位置を掴むのが得意という意味だ。


耳が悪いと敵に撃たれた瞬間、咄嗟に相手の位置が分からず、遮蔽物に隠れるなどの対応が出来ない事に加えて敵の位置が分からないのでカウンターも出来ない。


逆に耳がいいとこれら全ての問題は無くなる。


耳の良さはヘッドセットの性能、音量、本人の感覚、イコライザーの設定などの総合評価にて判断するものだが、間違いなくやつはそれら全てが優れている。


一条のスナイパーライフルにはサプレッサーがついているようだが、あの距離程度の狙撃では位置が露呈されてしまうだろう。


位置がバレると非常にまずいことになる。巨人化で一気に距離を詰められたら一巻の終わりだ。


すぐに細かい位置がわかる訳では無いと思うが、それでも事態は急を要する。


だが、今回に限ってはあえてそこを狙う。


撃たれて数秒で、相手は一条の位置を把握し、アルティメットスキルで突撃してくるだろう。

突撃されて彼女がいる監視塔に着く直前。そこを狙って割り込み参加する。そこで一発で決めきる寸法だ。


一条の弾丸は無事に奴の頭を撃ち抜く。それとほぼ同時に俺はプレイヤー席に到着する。


「一体あなたは何者なんですか!?」


一条が混乱した表情で聞いてくる。


「細かいことは後で説明する!今は俺に合わせてくれ!」


俺がそう言うと一条は覚悟を決めた表情で


「分かりました。今はあなたに従います!でも後でちゃんと説明してくださいね?」


「もちろんだ!」


俺は予め用意されていた割り込み用のプレイヤー席に座り、割り込みをする。


さすがストリート対戦用のPCなだけあってロード時間は爆速だ。


あっという間にロードが終わり、一条の近くにスポーンする。


「割り込みはスポーンする時十秒の硬直時間が発生する!それまでやつを牽制して何とか耐えてくれ!その後は俺が片付ける!」


「わかりました!出し惜しみせずに行きます!」


『割り込みシステムの発動を検知。参加中のプレイヤーにお知らせします。プレイヤー<LicK>がゲームに割り込み参加します』


プレイヤーネームが出たが、ジュニア時代の名前とは違うためこれでバレることは無いだろう。


最も、俺がこの試合に参戦した時点で正体がばれることは確定しているのだが。


俺が保有する最強にして最悪とまで言わしめたアルティメットスキル、7年の時が経ったが未だにその名前は有名らしい。


ここ最近の人生で最も長い十秒間が始まった。


狙撃は成功したが、俺の割り込み通知と共に俺がスポーンする場所に大きな光の柱が立つ。これで位置は完全にバレた。


相手が割り込み通知を聞いて位置を完全に把握するまで5秒


迷わず巨人化スキルを発動した奴が監視塔に辿り着くまで5秒。


俺がスポーン硬直解除から攻撃態勢に入るまで2秒。


つまり約5秒の猶予時間が奴にはあるという事になる。


巨人化した時の火力は絶大だろう。恐らく攻撃が少し掠っただけでも瀕死に追い込まれる。


5秒もあればその間に俺ら2人を倒すことなんて容易いことだろう。それは彼女もよくわかっている。


彼女は真っ先に監視塔を降り、迫ってくる巨人に向けてスナイパーライフルを構える。


「おい!よくもやってくれたな!叩き潰してやるよぉぉぉ!」


奴がそう叫びながら近づいてくる。このゲームの仕様上、近くにいるプレイヤーの声は妨害スキルを持つチームメイトが居ない限り終盤を除いて丸聞こえとなる。


「……仕留める」


彼女は大声に全く動じずに集中を高めながらスコープをのぞき込む。


ーーーそんな彼女の横顔は、とても綺麗だった。

昨日からPVが爆上がりしてて嬉しい限りです…

本日はあと3話か4話投稿するのでよければ見てやってください


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