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後妻としてやってきた継母と腹違いの妹にもいじめられ、庇ってくれた父も死んで遺産目当ての二人に私は監禁され死んだものとされていたのですが…。私を守護する力のおかげで生き延びました。私が幸せをつかむまで

作者: mina

「お前はもう死んだんだよ!」


「だからお姉さまの遺産は私のもの! お父様の遺産も私のものよ。おーほほ」


 私は離れの物置に閉じ込められてしまいました。

 私を愛してくれた母が死んで、親戚がすすめた女性を後妻に迎えた父。

 しかし妹が生まれて継母が私をいじめるようになり…父はかばってくれたのですが、その父も12歳で亡くなりました。


「殺そうとしたんだがね、お前、なんとかのご加護があるそうだね。毒も効かないなんて化け物かい!」


「毒もダメ、暗殺者もダメって化け物よ!」


 私の母方の守護があり命に係わることやそれに大きな怪我からは守られていました。

 だからこそ二人は私を監禁することにしたのでしょう。


「お前はもう死んだことにするよ。ああ早く死んでくれないかねえ」


「ごはんを食べなければさすがに死ぬでしょう」


「そうだねあはは」


 私はお金目当てに父と結婚した継母とそして妹に監禁され、死を待つばかりになったのです。

 しかし私を守護する力は死を回避させるためにあらゆることをしました。


「水とパンだけが与えられる日々か」


 私は死なない程度に与えられる供物を食べていました。

 守護というやつはどうもあまり汎用性がないのだなと思います。


「今日はいつかしら」


 物置といっても石造りでありそして窓や扉はすべて閉ざされてしまっていました。

 しかし小さな光のおかげで私は部屋の中身は見えていました。

 守護のおかげですが……。


「今日は何日?」


 聞いても教えてくれません。

 私は物置にあったわらを寝床にして眠り、そして昼はなんとか正気を保とうと昔母が教えてくれたおとぎ話を何度も口にし……。


 流石に守護の力も気が狂ったらまずいと思ったのかたまに本なのがぽんっとおかれていることもありました。


「ここから出してくれないってどんな守護よ」


 私が今日は何日なのよ! と何度も叫び気がおかしくなりそうと思ったとたん壁に日にちが浮かび上がり、あれから3年が経ったということがわかりました。


「だからどうしてここから出してくれないのよ!」


 誰も答えるわけもなく……。

 そうするうちに外から人の叫び声が聞こえてきたのです。


「おい、だれかいるのか?」


「閉じ込められていますわ!」


「お前は誰だ?」


 どかんという音が何度もします。下がってろという男の人の声が聞こえ私は思い切り後ろに下がりました。


 ああ石が崩れ、私は数年ぶりに見る日の光に目を細めると、立派な衣服を着た男性が立っていました。


「私はこの館のレイオル伯爵の娘、ユリアです」


「確か伯爵の娘ユリアは亡くなったと……」


「それは嘘で、継母と腹違いの妹のエリスに死んだことにされて監禁されていたのです。死んだ父の遺産が目当てだと言っていました。取り分が少なくなると……」


「ああ、そんなことをしそうな女たちだったな」


「あなたは?」


「私はこの国の王の弟、レオンハルトだ」


「……」


「お前の妹とやらが王太子であった私の甥を色仕掛けで誑かし、侯爵令嬢の婚約者と婚約破棄をさせて後釜に座ろうとしたんだ」


「そこまでやりますか……」


 私は何度か自分の臭いをかいでみたのですが、生理現象やそれに体の汚れといったものは守護の力のおかげでなんとかなっていたので、まったく臭くありません。少しほっとしましたわ。


 しかしどうして出してくれなかったのか。


「婚約破棄をさせた後、王太子妃にふさわしいか陛下が調査をさせてな、あいつのたくらみがわかって……」


「一族が連座になったのですわね」


「エリスとやらが死罪となり連座でその母とやらも死を賜った。所領が没収されて館もだったので……」


「ここに調べるためにやってきたと」


「そうだ」


 私はレオンハルト様に手を取られ助け出されました。

 彼はよく無事でいてくれたと私を優しく抱きしめてくれたのです。

 父と母以外に初めて感じたぬくもりでした。


 私はレオンに王宮に連れていかれ、私が受けた仕打ちを話すと陛下と王妃が涙されて……。

 連座からは外すと言ってくれたのです。


 所領はもう戻せない代わりにレオン様預かりにして面倒を見てくれるということになり。

 私は城に入ることになりました。


 王太子殿下はエリスにたぶらかされた愚かさを問われ廃嫡になり、レオン様が王太子に選ばれたのです。

 彼は昔婚約者を亡くしてそこから独り身だったそうで……。年齢は私より一回りほど上でした。


 私のことを妹のようだといってかわいがってくれていたのですが、私はいつしか彼を愛するようになり……。


「私は妹じゃありませんわ、レオン様。あなたのことを愛していますの!」


 私が愛を告白すると実はと……彼も私を愛し始めていただから婚約者選びに困っていたと話してくれて私は彼と婚約することになったのです。


「守護の力、もしかしてこれがわかっていて……」


 私はなんとなく聞いてみましたが守護の力が答えるはずもなく私は今日も王太子の婚約者としてのマナーなどを勉強する日々です。

 3年のブランクを取り戻さないと! レオン様の腕の中で私はにっこりと笑ったのでありました。

 


読了ありがとうございます!

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