もぐらとお日さま
※「かくれんぼ」をテーマにしていますが、夏のホラー2021参加作品ではありません。ほのぼのしたお話ですのでご安心ください(^^♪
「もぐら君、もぐら君、ぼくとかくれんぼしませんか?」
くもり空から、お日さまがちょっぴり顔を出して、もぐら君に声をかけました。お花をつみにきていたもぐら君は、もうびっくり。あわてて土の中へにげようとします。
「あぁ、待って! お願いだからちょっと待って。ぼくは、もぐら君にひどいことしたりしないよ」
「でも、おいらはお日さまの光は苦手なんだよ。今日だって、お日さまが出てないくもりだったから、お花をつみにきたんだ。いつもはこわくて外に出られないよ」
もぐらは目をおさえながら、ぶんぶんと顔をふりました。お日さまはそれでもあきらめきれない様子です。
「でも、お願いだよ。ぼくは、きみと仲良くしたいんだ」
「そんなこといっても……。それに、かくれんぼするっていったって、お日さまは空から見わたせるんだし、おいらはすぐ見つかっちゃうよ。もちろん、土の中にかくれていいなら別だけど」
もぐら君にいわれて、お日さまはうなずくようにきらきらと光りました。
「大丈夫だよ。かくれるのはぼくなんだから」
「えっ、お日さまが?」
思わずお日さまを見あげてしまい、もぐら君はあわてて目をぱちぱちとまたたかせます。お日さまは元気よく答えました。
「そうだよ。こう見えてぼくは、かくれるのが上手なんだよ。どうかな、ぼくとかくれんぼしない?」
お日さまを見つけるなんて、なんだかおかしくって、もぐら君はアハハと笑って顔をごしごししました。
「わかったよ、それじゃあかくれんぼしよう。それで、どれくらい時間を数えたらいいんだい?」
「そうだね、土の中で百を数えてくれるかな?」
お日さまにいわれて、もぐら君はどんっと胸をたたきました。
「よーし、それじゃあ、おいらはもぐるから、お日さまもうまくかくれてね。すぐに見つかっちゃったらつまんないよ」
「もちろんだよ。ありがとう、もぐら君。よぉし、うまくかくれるぞ!」
お日さまがはりきってぴかぴか光っています。もぐら君も、もごもとと土の中へもぐっていきました。
「きゅうじゅうはーち、きゅうじゅうきゅーう、ひゃーく! ……よーし、お日さまを見つけるぞ!」
暗い土の中で百まで数えると、もぐら君はもこもこと土をほって、それからぴょこっと顔を出しました。すると、顔になにか冷たいものが当たります。
「ひゃあっ、雨だ……。あぁ。これじゃあお日さまを見つけることはできないよ。どうしよう」
くもり空はいつの間にか、雨になっていたのです。さっきまでつんでいたお花たちが、雨を受けて歌っています。
「せっかく百まで数えたのに……。しかたない、雨があがるまで、土の中でひと休みしよう」
もぐら君はまた、もこもこと土の中へ戻っていきました。
「雨の音も聞こえなくなったし、そろそろかな?」
土の中でじっと耳をひそめていたもぐら君は、ふふふと笑ってそーっと、そーっと土をほっていきます。
「お日さまはきっと、雨で油断してるぞ。こっそり出て、おいらがすぐに見つけちゃうからな」
そろりそろりと、土をほっていき、地面が近づいてくると、もこもこもこっと土の中から顔を出したのです。そしてすぐに空を見あげます。そして……。
「あれっ、お月さまだ。じゃあ、もう夜になっちゃってたのか」
がっかりしたようにもぐら君は土からはい出てきます。お月さまが不思議そうにまたたきました。
「こんばんは、もぐら君。どうしたの?」
「あ、お月さま、こんばんは。あのね、お日さまとかくれんぼしてたんだ。だけど、とちゅうで雨がふってきちゃって、土の中でひと休みしてたんだよ。でも、今度は夜になっちゃってて……」
お月さまは、ふむふむと輝いてから、にっこりと笑いました。
「それじゃあ今度は、わたしとかくれんぼしましょうよ。お星さまたちのあいだにかくれるから、見つけるのはむずかしいわよ」
お月さまにいわれて、もぐら君も大喜びです。
「わぁ、やったぁ! よーし、それじゃあまた土の中で数を数えるからね」
お月さまとお星さまたちが、きらきらと輝きました。こうしてもぐら君には、たくさんのお友だちができたのでした。
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