表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Evasion 竜の背に乗り世界を駆ける、蒼炎揺らめく和洋折衷妖ファンタジー。  作者: 弓屋 晶都
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/190

番外編『双子〜生まれて初めて離れる君へ〜』(リル視点)

フリーは、生まれる前からずっと、ボクと一緒だった。


雨が降り続く日も、ぽかぽかのお天気の日も。

お母さんの帰りが遅くて不安な夜も。

学校に行くのが憂鬱な朝も。


ボクのすぐ傍には、いつもフリーが居てくれた。


ボクが道に迷うときは、いつもフリーが手を引いてくれた。

フリーも一緒に迷子になっていても、それでもフリーはボクの手をぎゅっと握って、いつもボクの前を歩いてた。

覚えてはいないけど、多分、お母さんのお腹の中に居たときから、

フリーはボクの手を握っててくれたんじゃないかと思う。


けど、あの日は違ってた。


フリーは、ボクの方を一度も振り返らずに、真っ直ぐコモノサマのところに走って行った。

ボクは今まで何度も見たその後ろ姿を、初めて、知らない人のように感じたんだ。


あの後。


ボクが気付いたときには、フリーはもう動かなくなってた。

ボクじゃなくて、コモノサマの手を、両手でしっかり握り締めたまま……。


だから、ボクは……。

……ボクは……。


ボクは、フリーを起こさなきゃいけないんだ。



ううん。

ボクが、フリーを起こさなきゃいけないんだ。

フリーに言わなきゃいけないことが、ボクにはいっぱいあるから。


[リルは、青緑色の膜の中で動きを止めたままのフリーを見つめる]


修行もね、ちゃんと頑張ってるんだよ。


お父さんは、いつもあんなだけど、へらへらしてるだけじゃなかったんだよ。凄かったんだよ。

術を使うときとか、時々ね、お父さんとっても恐い顔になるんだけど、ボクちゃんと修練頑張ってるよ。


けどね、まだね、その……うまくできないんだけど……。


久居は、そのうち出来るようになるって、焦らなくていいって言ってくれるんだ。

フリーはボクがちょっと失敗すると、すぐぐりぐりーってしてたけど、久居は全然そういう事しないんだよ。

むしろね。とっても失敗しちゃったときとかは、すっごく心配してくれて、優しくしてくれるの。

あ、でもね、ボクは、フリーがぐりぐりーってするときにも

心配してくれてるのとか、ちゃんとわかってたよ。


…………たまにはね、フリーに、ぐりぐりーってしてほしいなって、思うこともあるんだよ……。


あっ、ゴメン! やっぱ無し!!

今の嘘だからね!!

フリーのぐりぐりを思い出しただけで頭痛くなってきたよ……。

だってさ、フリーって、ぐーにトゲ作ってぐりぐりするんだもん。やり方が凶悪なんだよ。


……あれ?

何の話してたんだっけ。

ぐりぐりの話しじゃなかった気がするんだけど……。


と、とにかくね!

ボク頑張るから!!

もうちょっとだけ、そこで待っててね。

コモノサマもいるから、一人じゃないから、淋しくないよね。


[リルは、二人の置かれた部屋の戸をパタンと閉めて、ふっと気付く]


ああ、そっか…………。


……ボクも、ずっと一人じゃなかったから。


今まで、ずっと……淋しくなかったんだね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ