18 攻防
後書きに今後の投稿予定について記載しています。
最新話を追いかけて下さっている方はご一読いただければと思います。
「今だ! 門を開き突撃せよ」
アンデッドの群れが城壁に到達間近となったところで騎士団の騎兵が門から飛び出し魔物の群れに突進した。その後を歩兵たちが続く。
騎士団にはセフィリアの聖印が施された武具が提供されている。
しかしその個数は防具も含めて200個程度。
対アンデッドで最も効果を発揮する聖印が施された武器であれば2、3回打撃を与えれば倒すことができる。
しかし、そうでなければ2、3人掛かりでめった打ちにしなければ倒すことができない。
そのため光属性の付与された武器を有効に使えるかが戦闘の鍵となる。
そのことを騎士団も当然わかっているため聖印付きの武器を与えられた者は疲労により戦闘困難となった段階で次の者に託すよう予め指示されている。
万一聖印付きの武器を持つものが死亡したり身動きが取れなくなった場合は周囲の者が回収することになっている。
しかし、戦闘開始から3時間が経ち太陽がその高度を下げ始めるころには理想とは程遠い現実があった。
「聖印付きの武器はどれだけある?」
第二騎士団の副団長、今回団長不在のため臨時で指揮を執ることになったエリオット・ラペンタは部下にそう尋ねた。
「前線の混乱で散逸したもの、破損したもの数知れず。元々武器自体そこまで数はありませんでしたので120から150程度かと」
現在、騎士団と冒険者の献身で城門に魔物を近づけさせることは何とか防ぐことができている。
城門以外の城壁に集まろうとする魔物については城壁からの弓矢や魔法による攻撃でしのぐことができている。
ただ魔物の数が多いことからこのままではじり貧となることが予想できた。
「聖教会に行って追加の聖印付きの武器を供給してもらえ。物量が圧倒的に足りない!」
城門のすぐ外では戦闘が始まったものの街の中心部にある付与魔法ギルドではそれが嘘の様に静まり返っている。
この日は明け方まで皆がほぼ徹夜で作業を行っており引き渡しが終わると皆が糸の切れた人形のようにそこかしこで突っ伏していた。
まさに死屍累々という有様だ。
お昼ごろになってようやくちらほらと起き始める者が出てくるも今日ギルドは臨時休業となっている。
もう鼻血も出ないといった状態だ。
そんな中、武装をした騎士が付与魔法ギルドに飛び込んできた。
「シスターセフィリアに至急お取次ぎを!」
その危機迫る様子にあくびをかみ殺して受付対応をしたキャメリアは嫌な予感を覚えた。
「継続して聖印付きの武器の供給ですか……」
セフィリアが昏睡しており目を覚まさないことから付与魔法ギルドの責任者であるトーマスが対応した。
「とにかく今シスターセフィリアは徹夜の作業を終えて休養中です。ご指示は伝えますので今はお引き取りを」
供給の見通しについて言質を取りたい騎士団側と一悶着はあったもののここで騒いでもしょうがないと悟った騎士たちは「必ずお伝え下さい」と念押しして戻っていった。
「さてさてどうしたものやら」
トーマスはそう言うと頭を掻いて天井を仰いだ。
【今後の投稿について】
都合により平日の投稿が難しくなったためしばらく週末のみの投稿とさせていただきます。
次回は9月25日(金)(時間は夕方以降)の投稿を予定しています。
金曜日~日曜日にかけて集中しての投稿の予定です(平均して1日1話ペースにはしたいと思っています)。




