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5 天敵

 いつもどおり午前中に付与魔法ギルドでの仕事を終えた勇馬はお昼からアイリスとともに冒険者ギルドへとやってきた。


「おー、いつ来ても雰囲気あるな~」


「私はまだ慣れません」


 付与魔法ギルドとは異なり雑多な空気の冒険者ギルドは午前中で仕事を終えた少なくない数の冒険者がそこかしこで談笑している。


「おやっ? ユーマとアイリスじゃないか」


「あら本当」


 名前を呼ばれて声のした方を向くとクレアとエクレールの冒険者2人組がいた。



「げっ……」


「クレア、エクレールさん、こんにちは。偶然ですね」


「ちょっとアイリスちゃん? 会って早々『げっ』はないでしょう。これでもわたしはアイリスちゃんの魔法のお師匠様なんだからもっと敬ってもらわないと」


「敬ってもらいたいなら敬ってもらえるような態度を心がけるべきだと思います」


 自身への非難を正論で返すアイリスに「まあいいけどね」とエクレール。


「クレアから聞いたわよ。アイリスちゃん冒険者に登録したんですってね。今日はクエストを見に来たの?」


「まあ、そうですけど」


「早くわたしの魔法の授業も免許皆伝になって欲しいものだわ。そうしたらお祝いにわたしとおそろいの魔女服をプレゼントしてあげるのに」


 エクレールの着ている魔女服は特注のものである。


 肩と背中は剥き出しで胸の部分はビスチェのようであり胸は下の半分程度しか隠れていない。


「そんな痴女服いりません!」


「あらひどい言いぐさね。でも確かにこの服だとアイリスちゃんのお胸には合わないかもしれないわねぇ。スカスカになるでしょうし」


 エクレールは残念そうな表情でアイリスの胸に視線を向けて溜息をついた。


「ソ ノ ケ ン カ カ ッ タ」


 アイリスはどす黒いオーラを放ちながらエクレールに向けて殺気を放つ。


 勇馬は仁義なきおっぱい戦争に口を出すことができない。


(アイリスすまん。お前に加勢できない無力なあるじを許してくれ)







「騒々しいと思いましたらクレアさんとエクレールさんではありませんか」


 勇馬がどうしたものかと思っていた矢先、一触即発の2人の間に割って入る者が現れた。

 勇馬の知らない修道服を着た若い女性だ。


「おお、シスターセフィリア。お久しぶりです」


「ご機嫌ようクレアさん、ホントお久しぶりね。足のお加減はいかがかしら」


 セフィリアと呼ばれた修道女はクレアたちの知り合いのようだ。


 濃紺の修道服を頭から被っているため一部しか見えないが、淡いピンク色の髪の毛をした女性だ。


「げっ、セフィリア……。嫌な奴に会っちゃったわね」


「ご機嫌ようエクレールさん、会って早々ご挨拶ね。それにしても相も変わらず慎みのない格好をしていらっしゃいますのね?」


「なによ、あんたには関係ないじゃない!」


「この街の風紀が乱れることはシスターとして見過ごせませんわ」


 にらみ合う2人の様子を眺めていた勇馬の視線にセフィリアが気付いた。



「ところでこちらはどなたかしら?」


 セフィリアは勇馬を見て興味深そうに尋ねた。


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