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32 再会


「あら? ユーマじゃないの。それにおまけのお嬢ちゃんも。どうしてこんなところに?」



 エクレールは首を傾げると目的の人物を見つけ破顔した。


「クレア、探したわよ。久しぶり! 足の調子はどう?」


「まあまあだよ。それよりも2人とは知り合いなのかい?」


 旧知の仲といった様子のエクレールとクレアの会話に勇馬は口を挟むことができなかった。


「まあ、ちょっといろいろあってね」


 エクレールはそう言うと勇馬に視線を向けた。

 




「エクレールさんはクレアと同じパーティーだったんですか」


 勇馬がエクレールとクレアとが既知の関係である理由を尋ねるとその答えは至極簡単なものだった。


「しかし、お2人は随分とタイプが違うように思いますが……」


「あらそう? 2人ともまじめだし、正義感は強いし、美人だし、かわいいし」


 アイリスはエクレールからの答えに苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。


「ところで2人ともどうしてクレアと一緒にいるのかしら? しかもユーマにいたってはクレアを呼び捨てで呼んでいるし」


 エクレールの疑問にクレアが説明する。


「ふ~ん、おまけのお嬢ちゃん冒険者になるんだ?」


「エクレール、おまけのお嬢ちゃんは失礼だよ。ちゃんと名前で呼ばないと」


「ごめんごめん、ええっとアイリスちゃんだったかしら? アイリスちゃんは冒険者になるの?」


 エクレールの問いに勇馬が割り込んで答える。


「今はこの授業の他にメイドの授業を受けさせています。あと魔法使いになれる可能性があればと思って魔法使いの授業をしてくれる方を募集しているんですがなかなか引き受け手がなくて……」


「へ~、魔法使いも選択肢なんだ~。そっか~」


 勇馬の話を聞いてエクレールはそう呟くとしばらく無言で考え込んだ。

 

 そしておもむろに口を開いた。


「もしよかったら私が教えてあげよっか?」


 思いがけない申し出に勇馬とアイリスはお互い顔を見合わせた。





「私が教えるにあたって求める条件は2つよ。まず、授業中は何があっても私の言う事に従うこと、そしてもう1つは授業にユーマも参加すること。この2つよ」

 

 今回のようにこちら側からお願いして教師を引き受けてもらう以上、言う事に従うのは当たり前の話である。

 また、勇馬も自分が魔法を使えるかどうかはともかくとして魔法に興味があったことからその条件を受け入れた。


「じゃあ、冒険者ギルドで依頼を受ける手続をしてくるわ」

 


 エクレールはそう言って隣接する冒険者ギルドへと向かった。


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