23 二日目
次の日も勇馬は初日と同様の量のポーションを製造した。
この日はお昼前から瓶詰作業の獣人が来るという話だったことから初日の同様に手早く終わらせた。
「さて、そうなると後の時間が暇になるな……」
昨日は初日ということもあって瓶詰作業に立ち会ったが勇馬から見て特には問題なかった。
これなら自分がわざわざ立ち会う必要はないだろうということで勇馬はお昼の時間、4人で集まったところで切り出した。
「午後は3人のうち1人だけを作業の立ち会いで残すことにして、他の2人は俺と出掛けるというのはどうだろう?」
「いいんじゃないかしら。まだ完全に信用するわけにはいかないから誰かを確認のために残すことは必要でしょう」
「では前日に主殿の護衛をした者が翌日はその役をするというのはどうだろう? 護衛役はなんだかんだ言いながらもそれなりに神経を使うので疲労が残る。翌日はその役をして主殿の護衛から完全に外れた方が休めるだろうし」
勇馬と出掛けるということはその日は正規の護衛役ではないとはいえ、必然的に護衛の仕事をすることになる。
クレアの言葉は冒険者としてクエストで護衛の仕事をしていた経験に裏打ちされたものでもあった。
「私はそれでいいと思います。主様、いかがでしょうか?」
「俺もそれでいいと思う。じゃあ、早速だけど午後から出掛けようか」
昨日の勇馬の護衛役をしたエクレールをポーション瓶詰作業の監視役として残すことにして勇馬はアイリスとクレアを連れて街を見て回ることにした。
獣王国に来たとはいえ、入国時は周囲を護衛に囲まれての来訪だったことに加えて、今は用意された所に缶詰の状態だ。
勇馬としては獣人の国がどんな国なのかを自分の目で見て回りたいという気持ちがあった。
「一応、ルナールには出掛けることを確認しておいた方がいいでしょうね」
エクレールがそう言ってルナールに確認するため4人がいた部屋から出て行った。
勇馬からしてみれば獣王国も同じ異世界という括りになるので忘れそうになるが国が違えば文化や風習も違う。
さらに言えばこれまで生活していたアミュール王国やラムダ公国はあくまでも人族中心の国だったが今いるのは獣人の国ということもあるのでルナールにそれとなく気を付けるべき点がないかも確認しておくことになった。
ルナールとしてもせっかく招いた錬金術師が自国内でのトラブルに巻き込まれて当初の目的を果たせなくなったとなればそれは大問題になるわけなのでその辺りは真摯に対応してもらえるだろう。
少ししてエクレールがルナールを伴って勇馬たちの部屋にまでやってきた。
「本日納品いただく分はできていますので外出されるのは一向に構いません。本当であればわたしが街を案内して差し上げたいのですが、ポーション製造作業に立ち会わなければなりませんので」
「いえ、それは構いません。そちらにとってはそっちの方が重要なことですし当然です。では、この街を散策するのに何か気を付けるべきことがあれば事前に教えていただけますか?」
「気を付けることですか? そうですね、まず、どこの街でもそうだとは思いますが治安の悪い場所はどうしてもありますのでそういったところへは近づかないでいただければと思います。獣人の国ということで特別に注意することはこの族都であれば皆さんがお住まいの場所とそこまで文化や風習が異なることはないはずですので特には問題ないかと」
ルナールは獣人の国というよりも獣人に対して気を付けて欲しいこととして、勝手に獣人の耳やしっぽを触らないで欲しいということを勇馬たちに伝えた。
「それは勿論」
勇馬は自信をもってそう答えた。
その辺りはライトノベルのお約束でもあるため想像の範疇だ。
それ以前に獣人であれ人族であれ、他人に勝手に自分の身体を触られることは気分が良い訳はない。
早速勇馬たち、特に勇馬の護衛役となる他の3人がルナールから族都でも治安の悪い場所のレクチャーを受けていよいよ街へと出掛けることになった。




