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6 休日




 

 メルミドの街に来てから最初の安息日。



 この日は日本で言えば日曜日にあたり公的な機関は基本休みである。


 各種ギルドもこの日は休みだったり業務を縮小しているところが多い。

 その一方、商店などもかつては一斉に休みをとっていたが利に聡い商人が休みの人出を目当てに店を開けて繁盛したのを見て他の商人たちも競うように店を開けたことから商店の類は店を開けている。

 開いているのは日用品や生活雑貨、食料品を売る商店のほか飲食店である。

 

 街は平日よりも人出が多く活気に溢れている。平日には出ていなかった露店が休日に出ていることもありその珍しさから行列がそこかしこにできている。



「休みの日はやっぱりいいな~」



 この街に来てから毎日仕事をしており何もしなくてもいい日ということで勇馬はかなりリラックスしていた。


 仕事とはいっても実際は毎日午前中だけしか仕事をしていない勇馬ではあるが一日仕事から完全に解放された解放感は格別である。

 元々勇馬は大学生という身分であり仕事をして自分の生活費を自分で稼いでいたわけではない。そのためこの世界に来て毎日働き自分の生活費を自分で稼ぐということ自体が知らず知らずのうちにプレッシャーになっていた。時間の長短は問題ではなかった。


 この日勇馬は昼近くまで惰眠をむさぼりさっき起きたばかりである。

 いつもであれば宿で朝食をとるところだが宿の朝食の時間は終わっていたため街に出てブランチとしゃれこもうというところだ。

 この街に来てまだ数日でありどこにどんな店があるのかもわからない勇馬であるが何となく通りをぶらぶらしてどこかいい店がないかを見て回る。


 そんな中、大通りに面したカフェレストランの入り口にあるメニューをじ~と見ている女性の横顔が目にとまった。



(あれっ? どこかで見たことがあるような……)



 そう思ったところその女性が勇馬の視線に気付き振り向いた。


「ユーマさんじゃないですか!」


 正面から向かい合い、その声を聞いて直ぐに目の前の女性の正体がわかった。



「エリシアさん、奇遇ですね」



 その女性は付与魔法ギルドの受付嬢であるエリシアであった。


「ユーマさんはどちらへ?」

「実はさっき起きたばかりでして朝食兼昼食を食べに行くところです。エリシアさんは何をしていらしたんですか?」

「えっ、私ですか?」


 ばつが悪そうな表情をしたエリシアはわずかに逡巡すると意を決して口を開く。



「笑わないでもらえますか?」



 勇馬はきょとんとした表情で軽く頷きエリシアからの話を待った。



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