7話 誘拐とジーク 3
ジーク視点
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初めてそいつを見たとき俺は何か運命的な物を感じていた。
「お前、可愛いな」
その言葉は紛れもなく俺の本心だった。
彼女は、腰まで伸びた艶のある黒髪に黒が映える空色のドレス。そして、吸血鬼のように紅く輝く真紅の目。
俺は彼女を心から欲しいと思った。
俺がトイレに行っていると会場からガラスの割れる音と男の怒鳴り声が聞こえてきた。
なにか嫌な気がして俺は会場に走った。
「100億ギラ用意できなければ奴隷として売る。明日までに用意しろ」
襲撃してきたテロリストのボスであろう男に連れ去られていく彼女を見たとき、俺はブチ切れて口をついて出た言葉は約束の言葉。
「この問題は俺、ジーク・エルメリアが解決する。
エル視点
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私があの男に連れ去られてから3時間、私は古びた工場の柱にくくりつけられていた。
「よう嬢ちゃん、気分はどうだい?」
「最悪……」
「はっはっはっそんな怖い顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「誰の……せいだと……」
この男は悪びれもなくそういう。
「ねぇボス!味見しちゃいましょうよ!」
「駄目だ。奴隷としての価値が下がっちまうだろ」
目の前で俺をレ○プするかしないかの口論が繰り広げられている事に嫌悪感を覚える。
「でも勿体ないですぜこんな上玉」
「それは……そうだが……」
「後ろの方はバレませんって」
げ……このままじゃ私犯されちゃう……。
「じゃあやらせていただきますね」
そうして剥がされていく服と下着。
「いっただっきm……」
「俺のエルに何してくれてんだ!!」
あの声が聞こえた。
ジーク視点
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「すぐ奴らを追え。手遅れになるぞ」
「でも、あいつらは明日までだって……」
「明日まで無事である確率は低いし明日までに100億ギラを用意することも到底無理だ」
「子供に何がわかる!」
「曇った大人の目よりは状況が見えている。すっこんでろ」
馬鹿な貴族を黙らせた後、俺はどうやってテロリスト共を相手するか考えていた。
(相手は大人だ。それも俺一人で突っ込んでいったとしても一瞬で負けるだろう。どうすればエルを無事に助けられる……)
「ジーク様、エル様は全魔法を中級まで使えます」
どうして助けようか考えているとエルのメイドが話しかけてきた。
「それは本当か?」
「はい、エル様はそれに加えて新しい魔法『創造魔法』も使えます」
創造魔法?となったがそれが本当ならエルを助ける道ができてくる。
後は人を集めるだけだ。
さぁ……エルを返してもらおうか……。