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双刀斬姫の遊戯道!  作者: 水無月 蒼次 / 原作:高宮 秀作
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協定に従って

私達は改めてゲイルの所を訪れた。


「アオイさん、依頼の方はどうですか?」


「そっちは順調ですよ」


「なにかあったんですか?」


「まずはコレを読んでください」


私は例の手紙と紙束を取り出す


「これは…なぜ王家の印が…は!?王家は隣国を潰す気ですか…コレをどこで渡されたんですか?」


「地下です」


「はー・・・どうしたものか」


「なにか問題でも?」


「アオイさんは聞き齧った程度には知ってますよね?ランはたぶん知らないと思うけど、ベイグル領主と王家と彼…ミナヅキ・k・ソウジ殿の間には協定があるんです」


アレは二年前

その時も隣国と小競合いをしていた。

その時に王城に奇襲がかけられた。

実行者はたった一人。

獣魔を何匹か連れてましたが、その程度ですよ。

そんな相手に王城の警備が軽くあしらわれて、あまつさえ王様の首に刀を添えて、その時はまだ民間には流通してなかった小型電磁砲をこめかみに突きつけられた。


そして彼は言った。


「はあ、中堅プレイヤー一人止められないのに隣国と戦争なんかしてて大丈夫なの?」


「まさか隣国の間者がこんなところまで侵入しているとは…者共絶対に動くでないぞ!」


王は情けない命令を出している。


「さて、二三個言いたい事があって今日は遙々ベイグル近辺から態々来たんだ。確り言わせて貰うけど、まず一つ!俺は隣国の構成員ではない。むしろお前らの側についてやるつもりだ」


一堂呆然


当たり前だ、なら奇襲なんか仕掛けずに正門から入って来い!って全員が言いたかった。


まあ、正門から入って来たんだけど。


「で二つ目!俺に隣国との戦争に一つ噛ませろ。やるからには徹底的にやってやる、とりあえず隣国の王の首でいいよな?」


王は千切れんばかりに首を縦に振っている。


「言ったな?で三つ目、報酬としてベイグル近辺の森を寄越せ。いや、厳密にはこの書類にサインしろ」


王は首を振り続けている。


「おいお前、ちゃんと話聞いてたか?契約を破ったら今度は突きつけるだけじゃすまないからな?」


王は涙目で首を振り続けている。


「ふむ、じゃあ解放するか」


彼は両手に持った凶器を下ろした。


途端、王は叫ぶ


「下手人を排除しろ!」


下を向いた銃口から僅かなスパークが走り、床を焦がす。


「うぐぅっ!何をしておる!」


王の右の太股に血が滲む。


衛兵がわらわら入ってくる。


「はあ、話が通じなくてガッカリだ」


地響きがした。

爆発音と何かが崩れる音がした。


「なっ貴様何をした!」


「本当に残念で仕方ない、虫ケラの諸君さようなら」


彼が手に持った小銃から鉛玉がばら蒔かれる。


弾丸は無秩序に飛び出して、入り口に居た衛兵の脳天を的確に撃ち抜いた。


そして弾切れなのか小銃のストラップを引き抜いて、投げ捨てた。


なぜストラップを引き抜いたのかはその直後に解った。


小銃が破裂したのだ。


電磁砲兼手榴弾


そんな馬鹿げた武器を彼は作ってしまったのだ。


それは、入り口手前で破裂して多数の破片と鉄球を飛び散らせた。


どこまでも凶悪な兵器だ。


飛び散った鉄球は近くに居た衛兵の肉を引き裂き、骨に埋まる。


「王様?今すぐあんたを殺すのはちょっと惜しいからそこでじっとしとけよ?一歩でも動いたら、その足枷型手榴弾が破裂してあんたは爆死乙だからな?ジェネレート 禍津牙」


彼の空いた左手に刀身が濃紫に光る刀、いや濃紫のオーラを纏った刀が現れる。


「さて、最新エリアのボス泥の効果を試させてもらおうか。幻狼、行け」


彼の横に二匹の紫色の狼が現れる、それは走り出して衛兵に喰らいついた。


傷口から紫のオーラが侵入して対象者を徐々に侵食して、五分で対象者の自由を剥奪し、対象者か主人が敵とした者がいなくなるまで対象者を支配する。

精神支配と言う新種の状態異常を引き起こす武器だ。


たぶんさっきの魔獣もといモンスターもそうして入手したものなのだろう。


「あ、改めてサインする気になったらやめてあげますからね」


次の瞬間には彼は既にそこに居らず、人の群れの中で剣閃を閃かせていた。


二式旋風


と言う技らしい、連続で回転しながら周囲を切りつける。


紫色の剣閃と白い剣閃が連続で閃く。


更に、先程噛み付かれた衛兵は既に体の半分を奪われたらしくまともに動けなくなっていた。


地獄絵図とはコレの事だろう。


あんな年端も行かない少年一人に衛兵が遊ばれている。


「さてと、これで全員感染したね?さっ王様?サインする気になりましたか?早くしないと貴方のお付きの人達が他の人に状態異常を広めに行っちゃいますよ?さながらバイオハザードですね。まあゾンビではありませんが。一応言っておきますが、俺が剣を納めれば彼等は状態異常から解放されますよ?」


衛兵達が一人、また一人と紫色のオーラに完全に包まれてゆらりと立ち上がる。


「あ、じゃあ君達さあ。王妃様連れてきてよ、丁寧にエスコートしてくるんだよ?王様に自分の城が侵食されてく所を見せてあげないといけないからさ」


蒼次:「うわ~、ゲスの極みだな…」


ソウ:「いや、お前だってあの状況なら心理戦に持ち込むだろ?王妃様を人質にして交渉する、それでもダメなら王妃様を感染させて、王子をそこらの剣で処刑させるだろ?」


蒼次:「うわ~、ガチ共感。やっぱり量産品って言っても俺は俺だな」


ソウ:「ポンコツでもやっぱ俺は俺だな」


レン:「どっちも最低だよ( -д-)」


「解った、サインする!サインするから王妃には手を出さんでくれ!」


「そう、その言葉を待ってた。もう足枷は外していいや」


彼は刀で足枷を破壊した。


「さあ、ここにサインを」


王様は床に手をついて慌ててサインした。


彼は禍津牙を鞘に納めた。


「契約成立ですね。ではさっそく隣国の王の首ですね」


彼は指を鳴らす。


入り口からガチガチに拘束されたオッサンが、ゴーレムに抱えられて入ってきた。


「さてと、悪いけど貴方には戦死してもらいますね」


「んーーー!」


猿轡を噛まされているオッサンの首に刀を振り下ろした。


オッサンの首は綺麗に飛んで彼の手に収まって、一度消えて再び出てきた。


「さて、約束の隣国の王の首ですよ」


隣国王の遺体は光となって消滅した。


「ひっ!この外道め…」


「外道ですか…まあ否定はしませんが。では王様、これからどうぞよろしくお願いします、協定に従ってね」



「そう、彼はこんな外道な手を使って王様を脅迫して今の協定を作り上げたんです。しかし彼との協定は王国に厄災どころかむしろ莫大な利益をもたらしました。なんと言っても王国が手を焼いていた隣国の王を単独で拉致して、王城まで連れてきて目の前で首をオブジェクト化する程の実力の持ち主です。やることは倫理観を著しく欠いていますが、ハッキリ言って特上のプレイヤーを一人囲ってるのと同じですよ。このベイグルの防衛設備や転移門、ライフラインにも彼の力が少なからず関与してます。今更彼を失うことは王国の繁栄を失うことに等しいから、王様はこの案件への支援を受諾したんでしょう」


「お兄さま、私はお兄さまの意思をお聞きしたく戻りました」


「確かにベイグル領主としては受けなくてはならない。領主は王命に従わなくてはならないから、でもコレは戦争を終わらせるどころか更に加速させてしまう…そんな事を彼は望んでいるのか…」


「はい、どーも。手紙の配達ありがとうございました。領主殿、そろそろお呼びかと思ったので先に来ましたよ」


「ソウジ殿、この一件僕は賛同しかねますよ?」


「俺だってこんな物作りたかない」


「え!?」


「だけど、しなきゃここが落ちますよ?」


「それはどういうことですか?」


「俺、正確にはrenrenが設計した『 Aircraft Air Carrier 』の設計図が盗まれました。いや、正確にはrenrenが持ってったんですけど…どうも隣国にリークしたっぽいんですよ。このままだと、負けますよ?」


「負けるんですか?」


「いや、正確には勝ってもともに小さくない被害を受けますね。でソイツを完成させて勢力均衡を図るべきって言うのが俺の考えですその為に王様の許可も得た。後は領主殿、貴方次第です」


彼は重要な話をしている筈なのに、表情がそんなに逼迫してはいない、むしろ少し微笑んでいる様にも見えた。


「はあ…今作戦中のみに限定して指揮を全て僕が取ると言うことで製作しましょうか…」


「端からその気ですよ。実際主要機関は既に完成しているので後は船体のみですよ。そちらは設計図を見ながら頑張って下さい。では俺はやることがあるので」


彼は足早に部屋を出ていった。


「お兄さま…」


「ラン、悪いがコレが僕にできる最大限だ…」


ランはくるりと方向を帰ると脇目も振らずに出ていってしまった。


「はあ…情けない兄で済まない…」


ゲイルはそう呟いた

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