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古い知人

エリオットと緑は目的の場所へと辿り着いていた。


「ここですか?」


「……たぶん間違っていないと思うが。」


招待状に記されていたのは、町の片隅にある小さな公園だった。

二人は辺りを見回して見たが、どこにでもある普通の公園だ。

人影はないようである。

二人はしばらくの間、立ち尽くしたまま佇んでいた。


「あの、エリオットさん。座りませんか。」


緑の突然の発言にエリオットは、どこか張り詰めていた緊張の糸が緩んだのを感じた。


「そうだね、そうしよう。」


二人は木製の古びたベンチに腰をおろした。

アジトを出た時よりも、ひんやりとした風が優しく吹き抜けていった。

エリオットと緑は、ただその時が来るのを黙って待った。


そして、小一時間ほどが経とうとした時だった。

暗闇の向こうから土を踏む音が聞こえてきた。


二人に緊張が走った。

緑はもしも異変者だった場合に備えて刀を抜く準備をしていた。


ところが二人が目にしたのは、神でもなければ異変者でもなかった。


「おや、こんな夜更けにどうかされましたかな?」


その声の主を見て、緑は少し落ち着きを取り戻した。

二人の目の前に現れたのは小肥りの男だった。

頭は白髪に全て包まれていて、顔にはたくさんの皺があった。

年の頃でいえば六十を越えているようだった。

老人は薄緑の上下の作業着らしきものを着用していた。

近所の者だろうか。

緑は安堵して胸を撫で下ろしていたが、エリオットは違っていた。


「ご老人、それはこちらの台詞です。お一人で何をされているのでしょう?」


エリオットの問いかけに、緑もすぐにこの状況がおかしいことに気がついた。

こんな異常時に老人が一人で外を、ふらふら出歩いていることこそが変だ。

緑はすぐに刀を抜く準備を整えた。


「私ですか?そうですね、散歩ついでにちょっと人と会う約束をしていましてな。」


人の良さそうな顔をした老人は、参ったような顔をしながら答えた。


「人と?ここでですか?」


「ええ、まあそうですね。」


三人の間に少しばかりの沈黙が流れた。


「どうでしょうか、少し私と世間話でもいかがですかな。」


老人はそう言って、二人の間に強引に座った。


「夜風が気持ちがいいですな。」


「ええ。本当に。」


エリオットは、しみじみとしたように答えた。

緑は、この時少し異様な感じを二人から感じとっていた。

それはまるで二人が昔からの顔馴染みであるかの様な不思議な感覚であった。


「あの日も、ちょうどこんな雲一つない月明かりが妙に眩しい日でしたね。」


エリオットの発した言葉で緑の違和感は確かなものとなった。


「そうでした、そうでした。まったく年月の経つのは早いものですな。あれはまるで昨日のことのように思い出します。」


老人はどこか嬉しそうに答えた。


「改めて、お久しぶりですね――神よ。」






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