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それぞれの見送り

神からの招待状が届いた日から三日後、ついにその日を迎えた緑たちは重い空気に包まれていた。


「いよいよ今日だな。やっぱり俺たちもついていこうか。」


心配からバーンとレミも同行すると言っていたが、エリオットは二人を宥めて留守を頼んだ。


「いいかい二人とも。これまでよく私の子供として立派に尽くしてくれた。心から礼を言うよ。」


「ちょっと止めてよ、パパ。さっきも約束したけど、必ず緑と一緒に帰って来てよね。これじゃあ、お別れみたいじゃない。」


「ハハハ、そうだね。私としたことが少し感傷に浸ってしまって、申し訳ない。バーン、レミ、私は戻ってくることを約束する。だから留守は頼んだぞ。」


バーンとレミは深く頷いて応えた。



「緑君……これ。」


緑にある物を手渡したのは、凛香だった。


「これは?」


「子供っぽいかもしれないけど、御守り。」


「凛香ちゃんが作ったの?」


凛香は顔を赤らめて頷いた。


「ありがとう。何だか心強いよ。」


「本当に?」


緑は笑顔で応え、明るく振る舞った。

しかし内心に渦巻いていたのは不安だった。

だが、凛香の心遣いに少しだけ気が楽になったのは事実だった。


「よし、無事に戻ってこれたらまた皆でバーベキューやろう。」


「うん。絶対に戻って来てね緑君。その時は紫野君も一緒だよ。」


「ああ、もちろん。」


話しも一通り終えた頃、エリオットは緑を見て深く頷いた。

それに緑も頷いて応えた。


「それじゃあ行こうか、緑君。」


「はい。」



二人は仲間に見送られ、目的の場所へ向けて歩き始めた。

少し肌寒い風が流れている月影がとても綺麗な夜だった。


しばらく歩いていると、彼らの前方に待ち受けていたように、二つの影が現れた。


「よう兄貴。」


二人を待っていたのは、紫野とマチルダであった。


「もしかして、助っ人にでも来て頂けましたか?」


「ご冗談を。招待も受けていないのに押しかけるなんて、そんな不躾なことは致しませんわ。ただ、貴殿方にこの現世の未来がかかっているのですから、お見送りくらいはと思いまして。」


エリオットはそんなことくらい初めから分かっていた。

それでも、こうやって顔を見せに来てくれたマチルダと紫野に感謝の気持ちが溢れていた。



「兄貴、二つほど言っておきたいことがあって、ここに来た。」


「ああ。いくらでも構わないさ、言ってくれ。」


「一つ、親父は絶対俺が探してみせる。マチルダ様も手伝ってくれるって仰ってるから必ず見つかる。」


緑は紫野の意外な発言に嬉しくなった。

やはり紫野がどんな者に変わったとしても家族は家族なんだと。


「そして、もう一つ。兄貴――絶対に生きて帰ってこいよ。兄貴がいないと、親父を捕まえても元には戻せないからな。」


緑は紫野がそう言うのではないかと、察していた。

やっぱり自分たちは兄弟なんだと強く思った。

もしも逆の立場でも紫野と同じことを言っているであろう、自分とそれを言ってくれた紫野がとても誇らしかった。


「紫野、行ってくるよ。」


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