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天の使い~vol.Ⅰ~

エリオットと緑は街に出ていた。

バーンも一緒に来たいと懇願したが、エリオットがそれを許さなかった。

彼にはレミの容態を見守るよう言いつけて、なんとかなだめて二人はこの場所へとやって来たのだ。


「エリオットさん、ここにレミさんをあんな目に遇わせた奴がいるんですか?」


「いや、ここに居るわけではない。奴等がここへ来るんだよ、緑君。」


その言葉の意味を緑は何となく察し、それ以上は聞かなかった。


それからおよそ小一時間程が過ぎた頃だった。


「――来るぞ!」


エリオットは空を見つめ、力強く言った。


空から大地へと風が強く吹きつけた。

緑は全身が粟立っていた。

それは奴等の放つ異様なオーラとでも呼ぶものが原因だった。


緑は恐る恐る、視線を上へと上げた。

そこには本当に真っ白なスーツに身を包む者が八人羽ばたいていた。

彼らの背中には天使と呼ぶに相応しい真っ白で美しい大きな翼が生えている。


「ぜ、全員同じ顔!?」


緑は一人一人を見回しながら驚きを隠せなかった。


「やあ、黄金世代の生き残り君。元気してたかな?」


同じ顔の一人がエリオットに語りかけた。


「貴方たちこそお元気そうで。」


「ところで、そっちの子供は君のお子さんかい?」


「いや、彼はこの世代の希望だ。」


言葉こそ穏やかなれど、エリオットと天使の間には目に見えない火花がバチバチと激しく煌めいているようだった。


「それで、お二人で殺されにきたのですか?」


「天使も冗談を言うようになったのだな。当然、君らを討伐しに来た、と言ったら笑ってくれるかな?」


「いえいえ、笑ったりはしませんが、冗談は止めておいた方が身のためですよ。それに、我々の同士を八名も葬っておいて、よくそんな戯れ言が言えたものだ。」


天使たちの表情は皆等しく、余裕さえ感じられた。

その同じ表情は、まるで一人の人間をあちらこちらに映しだしているようだった。


「ただ、昔我々を倒したのは大勢の黄金世代の者たちだった。それを生き残りの君と、そこの訳の分からない少年二人で我々と、やりあおうとでも言うのかね?」


エリオットは、その言葉にピクリと反応を示した。


「確かに無謀な賭けなのかもしれない。だが、私はやり遂げる。貴様たちをあの世へと誘い、神ネメシスへと辿り着いてみせる。」


今度は天使たちの表情に変化が見受けられた。


「き、貴様。お前の様な下賎の者があの方の名を軽々しく口にするとは、もはや死罪以外あり得ぬぞ。」


エリオットは天使が激昂する様子を見て、少しばかり口元に笑みを浮かべた。


「緑君、始めようか。」


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