第十一話「話の続き」
『リターン・スピリット』
何処か遠いところから声が聞こえる。
それと同時に、強い眠気に身を任せまどろむんでいるところに、バケツいっぱいの氷水を浴びせられたかのように、一気に覚醒するのを感じる。
「………またか」
死んでいたようです。本日3度目ですネ〜。もう慣れましたよコンチキショウー。
「おはよう」
「………紫陰か。オレはーー」
えーと、ここは食堂か?記憶が曖昧だ。
確か、ティータイムで死んだあとなんかいろいろ話してて…あっ確か紫陰の親父が日本人だったんだっけ?
それからギフトなんかの話をして…それから確か紫陰がーーっ⁉︎
「魔王⁉︎」
「やっと起きた?」
オレは座っていたらしいイスから勢いよく立ち上がり状況を確認する。
場所はさっきの食堂、状況は同じ。目の前には紫陰が座っている。
そして紫陰が魔王だと思い出した瞬間、浮遊していた記憶が一気に戻ってきた。
「そうだっ‼︎アリス‼︎アリスはどこだ⁉︎」
「落ち着いて。あなたの隣にいる」
「へ?」
あ、いた。真横にいた。
アリスが机に突っ伏して寝ている。というか…
「生き…てる?」
アリスは呼吸に合わせて静かに身体が上下に動いていた。そしてヨダレを垂らして何やら幸せそうな顔をしていた。
うん、死人の顔じゃないな。そもそも呼吸してるっぽいし。
脈もある。というか、傷口どころか服に血のシミすらついていない。
「死んで…いない。アリスが生きてる?」
「大丈夫、ちゃんと生きてる。あなたは私が蘇生魔法を使えることを知ってるでしょう」
あ、そう言えばそうだな。液体X飲まされた時に冗談抜きで死んだのを生き返らせてもらったっけ?
ということは、アリスが刺された時点でもまだ交渉の余地はあったのか…あの時は多分相当パニックになっていたからなぁ……
『これはあなたが招いた最悪の結果』
…違う、交渉とかそういうことじゃない。
アリスが刺されていた時点で、余地も何もない。本当はそうならないようにオレはーー
「紫陰、あの…」
「……取り敢えず、涙拭いたら」
「ーーえ?」
「あなた、アリスちゃんを見てから泣いてる」
……本当だ。
手を頬に当ててみると、熱い液体が流れていた。
無意識にアリスが生きていたことを喜んでいたのだろうか?
それともアリスを死なせてしまったのが悲しかったのだろうか?
そのどちらかはわからないがその涙に気づいた瞬間、余計に涙は溢れ出し決壊したダムのように流れて始めた。
「ーーーっ、っう、ううっ」
いつの間にか、気づけば嗚咽も止まらなくなっていた。
「ーーーーーー、んにゃ?ここはどこなのです?イオりん?っ⁉︎イオりんどうしたのですか‼︎」
ああ、アリスを起こしてしまったようだ。早く、泣き止まないとーー
「ううっっ、っ、ア、アリ、スーーー」
ーー言いたいことがたくさんあるのに、これじゃあ、何一つ伝えることができない。
「あわわわ‼︎イオりんどうしたのですか⁉︎また誰かにひどいことをされたのですか⁉︎誰なのですか⁉︎アリスが行って懲らしめてきま……は⁉︎魔王‼︎まさかイオりんに何かし「うるさい」」
アリスが床に座り込んで泣いているオレに近寄り、肩に手をかけて話しかけてくる。
その手は確かに温かく、アリスが生きていることが嘘ではないことがわかる。
いつもの騒がしい声が、今は心を落ち着かせ安心させてくれる。
「しばらく席をはずすから、好きにしていて」
そういうと紫陰は席を立ち、食堂から歩いて出て行った。
気を使ってくれたのだろうか?ただ、今はとてもありがたかった。
「あ!待っ、ーーイオりん?」
オレは出て行く紫陰を反射的に追いかけようと立ち上がったアリスの袖を掴んでいた。
涙と嗚咽で何も言えなかったから、そうやってアリスを止めなくては何故か今度はもう二度と会えなくなる気がして……
「もう大丈夫ですよ、イオりん。今度はちゃんとアリスが守りますから。もう怖いものなんてありませんから、安心してください」
(違う。そうじゃないんだよ、アリス)
アリスは泣いているオレを慰めるように抱擁してくれた。
「うっ、うっ、ごめん、ごめんっ」
オレをかばってアリスが死んでしまったことへの謝罪。
だけどいま、生きてまた会うことのできたことへの喜び。
命をかけて守ってくれたのに、自らの手で命を絶ったことへの懺悔。
伝えたい言葉は山のようにあったのに、伝えられた言葉はたったそれだけであった。
それからしばらく。
アリスの胸の中で暖かい温もりを感じて、元気の良い心音を聴きながらいつまでも泣き続けていた。
〜〜〜
「さて、落ち着いたところで本題に入る」
アリスの胸で泣き続けて数十分後。
やっとの事で泣き止み、完全にやっちまった状態のオレをよそに、紫陰は三人分の紅茶を持って戻ってきた。
それからテーブルを整え、席に座り直して目の前に紅茶が置かれてから今に至る。ちなみに今度は最初から普通の紅茶が出てきた。
「まず第一に、私はあなたたちが倒す"魔王"ではない」
「「は?」」
紫陰は早速前提を覆す言葉を投げかけてきた。
「じゃあ何?裏ボス?」
いや、確かにこいつが魔王だって確証はなかったが、それじゃあ今までのあれこれは一体何だったんだ?
というか魔王でなければこんなに強い奴がそうコロコロいてたまるもんか‼︎
「正確には"今代の魔王"ではない。"先々代の魔王"」
ゑ?先々代?
「いやいやいやいや、ちょっと待った!おかしいだろ⁉︎その言い方じゃお前二代前の魔王ってコト⁉︎それじゃあ…例えば歴史は⁉︎」
「もちろん間違ってはいるけど世界に影響はない」
「いや、二代前の勇者と魔王の話ってーー」
まず前提としてこの世界の歴史において、勇者が魔王に負けたことなど一度たりともない。よって過去の魔王が生きていると言うことはおかしいのである。
さらに、二代前の勇者の英雄譚は知らない人間など、どんな辺境の地に行ったとしてもいないほどである。
その内容は約150年前、最も人類が被害が少なかった栄誉の戦争として語られている。
理由は簡単、勇者が強すぎたのである。
曰く、
ーー杖を一振りするだけで空と海が割れる。
ーー100年続いた人類同士の戦争をたった一夜で終わらせる。
ーー幾万の魔王軍をたった剣一本で撃退し、魔王を一瞬で葬り去った。
伝説だからいくらも尾ひれがついているものだろうと思っていたが、昔、街を訪れた旅のエルフが本当だったと語っていた。エルフは吟遊詩人であったため、どうせ庶民受けするようにに変えてあるんだろうと疑うオレに、記憶結晶と呼ばれる記憶を映像として映し出す魔道具を使って彼が見たというものをありのまま見せてもらったのだが、今度は記憶結晶が本物かを疑うことになった。
つまり、伝説は本当だったはずなのだ。
「信じられない。それにもしあんたが二代前の魔王だとしてなぜ世界は滅んでいない?」
そう、もし勇者が負ければ世界は滅びるのだ。
言い伝えではあるが、間違えではないらしい。それについてはおっさん神も言っていた。さらに記録では、かつて運命から逃げた勇者がいたそうだがその時は世界の半分が滅んだとされる。その後、何や感やで結局倒したらしいが、この何や感やの部分が諸説ありすぎるくらい昔のことである。
「もちろん、勇者が負ければ人類はそれなりの代償を払うことになる。それが神の定めた理。でも私の時は少し違った」
そういうと紫陰は一旦話を切り紅茶を一口飲む。
おそらく、少し長い話になるのだろうと思ったオレも一口飲み、アリスも続いて飲む。
……うまっ⁉︎何これ⁉︎
砂糖とミルクの柔らかな甘みが最初に来て、後味にくる紅茶独特の苦味を上品に引き立てている。どちらも甘すぎもせず、苦すぎもせず、ミルク、砂糖、紅茶の濃さが最高の黄金比で調合してある。さらに適度な温度で体が温まり、自然の優しい香りが心を落ち着かせる。
こんな紅茶王族でも飲んでいないんじゃないのか?こんなに素晴らしいものをオレはさっき味わえずに飲み干してしまっていたのか…
「気に入ってもらえたようで何より。話を続ける」
あ、紅茶に夢中になって話を忘れてた。
夢中になりすぎて一口のつもりが、いつの間にかティーカップは空になっていた。ちょっと勿体無い…
「そもそも、二代前の勇者は完全にイレギュラーだった。ちょっと脳みそ足りていない神が、弁えも知らずに介入してきたせいで、勇者が転生者の上に大量のチート級ギフトを手にしてしまった。その後はよく小説とかである無双状態。これがただの俺Tueeeeチーレム状態で一生を終えてくれれば、何も言うことはなかったのだけど、彼は少々独善的すぎた」
「あ、何となくわかる」
つまり、よくある転生物の小説パターンか…棚ぼた式でチート手にした主人公が無双しまくってハーレム作って世界変えていくやつ。
小説なら面白い面白くないで終わっていたんだろうけど、残念なら現実だったというわけか…つまりーー
「自分をテンプレ主人公と思い込んだそいつは、何一つ障害と呼べるものを体験せずに成長し、自分の未熟さや矛盾を棚に上げ、自分を誰からも愛される英雄だと思い込み力任せに世界を自分が思う平和に変えまくった、て感じか?」
「概ねそのとうり。加えて彼が助けて周りに増えていった仲間は彼を神のように思い、彼の行動を止めるものはいなくなっていた」
そうだろうな。テンプレだ。テンプレすぎて図に乗りすぎたのだろう。
「彼の築こうとしていた世界平和は、世界を衰退させかねなかった。現に彼が世界を変え始めてしばらくしてから"世界の成長"は止まり始めていた」
「世界の成長?」
「簡単にわかりやすく言うと歴史。いくつもの困難や危機を乗り越えていくべき道筋を大きく外れ、1000年の時をかけても手に入らない"平和"を実現させようとさせたら、1000年分発展が遅れることになるということ。そして彼は彼の前世の生きていた国、『日本』を元にしようとした」
「あ〜、無理だね。何となくそうじゃないかと思っていたけどやっぱり日本人か」
テンプレが流行っていたあの時代の日本人なら、おそらく自分もテンプレと思い込むに違いない。
よく言えば平和主義の好青年。だが、悪く言えば頭のおかしい夢想家。
彼の仲間は彼を前者として捉えただろうが、そもそも平和の前提や価値観の違う世界中の人々のほとんどが後者として捉え、事実、客観的に見たら後者で違いない。
それでも、その彼には推し進めるだけの力があったのだろう。
「どうせ民主制や税金制度とかこの世界ではオーバーテクノロジーとなる技術とかの導入をしようとしたんだろうなぁ」
しかし、そんなものは上手くいくはずがない。わかりやすく例えてみれば、未だローマ帝国が健在な時代に、いきなり現代日本を目指すようなものだ。
国づくりの天賦の才能や民衆を導く圧倒的カリスマ性があったとしたらほんの少しは望めるかもしれない。だがそんなもの、日本人どころか世界中を探してもいないと言っても過言ではない。そんな才能が日本の街中歩いてるような一般人にあるわけがない。よって、そいつには本来不可能な事なのだ。
「世界に必要なのはその先端技術や思想だけではない。その過程もあってこそ、次の1000年の発展が見込める。でも、その過程無くして手に入れたものは未知の空白を埋めるためにさらに膨大な時間を必要とする。世界は進むよりむしろ戻る方が難しい」
まあ、確かにそうだろうな。
例えば、足し算引き算を知らない子供に、いきなり微分積分を教えても使いこなせるわけがない。そしてその子をそのまま放っておいたとしていずれ勝手に微分積分を出来るようになるだろうか?
微分積分を解くためには文字を使う式、二乗、三乗などの使い方、その前にそもそも掛け算割り算などの過程にに必要なものは多い。故に、学校では簡単なものから一つ一つを丁寧に身につけていく。
世界基準になるともっと難しいだろう。
なんせ、例えで出した微分積分なら事細かに教えれば理解してもらえるかもしれないが、思想や技術、政策などは理解してもらえたとしても納得はされないだろう。時代には時代にあった絶対的な価値観というものが存在するのだから。未来で正しいものが今正しいとは限らない。時代にそぐわなければただの異端である。ガリレオの地動説なんかがいい例だ。
「んで、結局お前は何者なの?」
そして本題に戻る。
「イレギュラーにはイレギュラーを。勇者を止めるため、例外的に私は自らの意思でその代の魔王の座に着いた。本来は全く関係のない部外者」
「ただの部外者がインフレ勇者を止められるわけないだろう?」
「あなたは何だと思う?」
「神、か?」
「ハズレだけど近いものではある。今はまだあなた達には教えられないけど」
ハハ、神と近いものときたか…
「アリス、取り敢えず紫陰は敵じゃないようだけど?」
「うー、また途中から二人でよくわからないこと話してるのです…でも紫陰さんはアリスが倒すべき魔王じゃ無い気がするのです。さっきまで感じていた倒さなくてはいけないという強い使命感のようなものは全く感じなくなっているのです」
「ああ、これの事?」
「はっ‼︎」
「…はい」
「です?」
「えい」
「は‼︎‼︎」
「………何やってんだ、お前ら?」
さっきから紫陰の声ととものアリスの頭の上にはてなマークとビックリマークが交互に浮かんでいる。
はたから見たらニヤニヤしている紫陰と百面相しているアリスのにらめっこにしか見えない。
「ちょっとアリスちゃんの"運命に干渉"しているだけ」
「おい、いまなんかとんでもない言葉が飛び出したんだが?」
「そんなに難しいことじゃない。ある程度の"権限"と環境、状況さえ整っていればすぐに出来る」
「いや、当たり前のように言わないでくれる?」
運命ーー
それはおっさん神曰く、人の定められし神に決められた理。
それはアリスの"勇者"のようにガチガチのテンプレのようなものもあれば、何か新しいものを造るや、誰かに出会う、誰かと恋をし結ばれる、はたまた道端に落ちている特定の石を特定の日に蹴り飛ばすなどめちゃくちゃ細かいものまであるらしい。
何故そのようなどうでもいいようなことまで決められているのか、と聞いたらどうでもいいように見えるものも実は意味があったりするらしい。乱数調整みたいなものかな?
他にもいろいろと言っていないことはあるが、ここで大切なことは運命とは"神が定めた理"だと言うことである。
つまりーー
「本当にお前は神様に近い存在だって言うことか…」
「いぐざくとりー。さあ、敬え」
「敬われ要素が0なんですがそれは?」
どうにもオレの知っている偉い存在というのはなんかこう…尊厳というものが薄い。
「取り敢えずまとめるとお前が魔王だったけどオレたちには関係ないと言うことと、あなた神様マジ偉いってことか」
「概ねその通り。理解が早くて助かる」
「なら質問なのです!」
「はい、アリスちゃん」
「先先代の勇者は結局どうなったのですか?伝説ではみんな仲良く暮らしましたで終わっていたのですが?」
「ふっふっふ…どうなったと思う?」
紫陰が不気味に笑って問いてくる。
伝説では、魔王を倒した後、家族みんなで仲良く暮らしました、めでたしめでたしで終わっているのだ。
それだけを考えてみるとーー
「改心して幸せに暮らしたのです?」
ハッピーエンドとしてはアリスのこの答えがが一番妥当だろう……古今東西よくある話だ。
未熟な心を入れ替えさせ、世界に害さえなければ神様も何もいうまい。
「残念、全然違う」
だが、改心なんて簡単にできるほど人間は上等な生物ではない。仮に超ドラマチックな展開で心を突き動かしたと言うのならわからなくもないが、目の前のこの紫陰がそんな展開を繰り広げるだろうか?いや、無い。絶対無い。
「イオちゃんはどう思う?」
…それに、一定数はいるのだ、全く話の通じない輩というのは。
特にその勇者は、勇者という正義感に囚われた阿保なら、話なんて聞こうともしないだろう。誰だって自分が正義だと思い込むといつまでも、どこまでも正義であると思いつづける。特に魔王相手には何一つ聞かずに正義感を押し付けてくるだろう。正義でいれば正しくて気持ちのいいことだからな………
そんな者など説得するよりもーー
「……洗脳、マインドコントロール、記憶をいじる。こんなところか?」
こっちの方が手っ取り早い。
意のままに動く操り人形にして行動を強制しつつ、死ぬまで英雄を演じてもらう。
特にこれらは思い込みの激しいものほど掛かりやすいと前世で聞いたことがある。
それに紫陰ならそれくらいできそうだ。
「残念、でも惜しい」
違ったが惜しいときた。
「正解はーー」
そこまでいうと紫陰は人差し指を突き立て、クイッと曲げる。
すると、離れた食堂の入り口からノック音が聞こえた後、一人の見目麗しい執事服の男性が、新しい小洒落たティーセットを持って入ってくる。
男性はオレたちの前に新しい紅茶を並べると一礼し、紫陰の斜め後ろにお手本のような姿勢で止まった。
紫陰をみると、どこか得意げである……まさかーー
「勇者さんとと結婚したのですか⁉︎」
アリスが目を輝かせながら聞いている。こういうところに興味津々なのは女の子らしいところ…なのかな?
なるほど、確かにそういう仲に落ち着いたのなら誰しもがそれなりに平和的に幸せに過ごせるのだ。夫婦関係と言うのは男はよく縛られるものだって前世の父さんが言ってたし。
なんだ、紫陰は見た目に反して意外と乙女チックなーー
「……ぁ、ええーと」
しかし、紫陰はアリスの言葉を聞くと視線を逸らした。ということは……
「……人形か?それ」
「……正解」
紫陰の言葉は聞こえるか聞こえないかぐらいの小さなものだった。
ーー乙女チックとはだいぶん裏側の位置にありそうな事態である。
「…つまり、歴史はただの人形劇?」
「……正解」
つまりは、勇者倒して後はそっくりの人形を使い歴史を影から動かした…ということですか。
先先代の勇者と思われる人形をよく見てみる。伝説の通り容姿端麗。滑らかな青い髪に蒼い目、すらっとした顔立ちと、ほっそりとした骨格からシルエットだけなら女性に見えるかもしれない。
「伝説通り先先代の勇者は女みたいな男だったんだな」
「伝説の女みたいな貴方にだけは言われたく無いでしょうね」
うるさいわぃ。
「それもお人形さんなのですか?まるで本物みたいなのです!」
「(まさか本物?)……肉人形?」
「………」
沈黙は肯定なり。
アリスが純粋な反応を示すから紫陰がなんかやりずらそうにしている。
まあ、子供らしい反応は実に素晴らしいんだけどさぁ…ヘビィーな話はおそらくアリスがいない時にした方がよさそうだ。
だが、一応確認しておかなきゃいけないことがある。
「あの部屋の人形の何割が本物?」
「本物はない。全部ワタと糸と布。帰りに確認していってもいい」
ならいいか?
これで街の人間がすでに人形と入れ替わってるとかいうホラー展開は無いだろう。
しかし、あのクオリティをそれだけで再現するとは……ちょっと後で見せてもらおうかな。
「このお人形さん触ってみてもいいですか?」
「………また今度ね…」
思ってた以上に純粋なアリスの反応に紫陰は少し困っていた。
自由投稿のつもりでしたが、それだと私自身の日常の生活リズムのせいで今回のような間が恐ろしく空いてしまうことになりかねませんので投稿する日を決めます。
毎月の第1、第3土曜の20時に投稿させていただきます。
あくまで最低ラインですのでそれ以外の時にも投稿することもあります。
待っていてくださった方には深く謝罪を、読んでくださった方には感謝を。
本当に拙い物語ですが、楽しんでいただけると幸いです。




