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まるいち-2:神無月出雲
第三話「まるいち-2:神無月出雲」
神無月水月には悩み事があった。それは新しくできた妹のことだ。
母が再婚した相手には娘が一人いた。水月よりも四つ年下の神無月出雲は、神の無い月にも神様が見守っているようにと、彼女の曽祖父がつけた名前である。ちょうど水月と同じような名付けだが、自分は名前の意味が変わってしまって、この年下の義妹は環境が変わるだけ。なんと理不尽なのだろうか。この世界に神がいるのなら、本当に神がいるのであれば、どうか私を壊さないで。
神の水は神がいないと受けられない。神が無い場所には水は無い。私の水は失われたのだ。水月の嘆きは、水月の願いは――彼女を見守る神にとどいてしまうのであった。