伝わる想い
随分前に投稿した『失ってから』の被せ作品です。
親父が大事にしていたチューリップ。長い間、蕾のまま開かないでいた。
妻は、もうダメなんじゃ……。と言っていたが、僕は諦める事が出来なかった。
親父が育てていた時には、綺麗な花を咲かせていたが、親父が他界してから暫くして、チューリップは花を見せなくなった。
「親父……。大事なチューリップ、もう駄目かもしれない……。俺も、きちんと世話をしているつもりだけど、花が咲かないんだ……」
それでも、僕は諦めたくない一心で毎日丁寧に世話をした。
そしてある日、チューリップが花を咲かせた。妻も、喜んでくれた。
チューリップの花を見ていると、親父が微笑んでいるような気がした。
「ねぇあなた、今日義父さんの命日よね」
そういう事だったのか親父……。涙が溢れて止まらなかった。
心への訴えかけだったので、伝わり難かったかもしれません。