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命の水  作者: Bismarck
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ハネス病

 正直、自分とは無縁なものだと思っていた。

ハネス病。発症したものは1ヶ月で死に至る、不治の病。

僕、大空そらたはそれを発症した。

 

「最期に悔いの残らないようにしよう」

そう思った僕は学校を休み、バイトでためた少ない貯金で東京に来ていた。

スカイツリーの展望台からの景色は絶景で、今の状況を少し忘れることができた。

 

帰り道、不良3人に絡まれた。

110番しようにも携帯の充電が切れている

普段の僕なら大人しくお金を渡すだろうが、僕の手持ちには帰りの交通費しかない。

これを渡してしまったら家に帰れなくなる。

 

僕は逃走を試みた。

しかし相手は3人、当然のごとく捕まった。

 

なけなしのお金も奪われた僕はとりあえず公園で一晩を過ごすことになった。

冬前の季節だったので夜は少し肌寒い。

膨れた頬が痛む。

段ボールに包まっていると、何やら声が聞こえてきた。

助けを求めている。

僕はおそるおそる声の元に近づいた。

 

声の主はネコだった。

僕と同じように、段ボールに包まっている。

僕はできるだけ刺激しないように近づく、ネコが逃げる様子はない。

その日はネコと一緒に寝た。

 

僕には両親も親族も友達もいない。

ずっと孤独な人生だった。

ハネス病を発症し、余命宣告を受けたがまだ実感がない。

苦しい訳でも辛い訳でもないから。


翌日の朝、どう家へ帰ろうか悩んでいたら、ネコがこっちへ来いと言ってるような気がした。

行き先は交番だった。

どうやら財布を落とした等の理由がある場合は「公衆接待弁償費」としてお金を借りられるらしい。

このことをネコに教えてもらった事実に、少し恥ずかしさを覚えた。


ネコにお礼をして、なんとか家に帰ることができた。

誰もいない我が家に帰宅を知らせる。

当然返事はない。

訪問者ももちろんいない。

また一人の時間が過ぎる。

 

筈だった。

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