第4話:影に潜む王宮の秘密
ルミア王宮の大広間は、朝の光に満ちていた。
だが、その光に隠れるように、冷たい陰が忍び寄る――権力者たちの策略と、古代魔術の秘密が絡み合う場所だった。
ミナ・ルミナは、手にした音錬の杖をぎゅっと握る。
「今日こそ、学者たちの行方を……」
声はなくとも、心の中の決意が音となって体中に響く。
ルクス・エルダがそっと隣に立つ。
「君の力で手掛かりがあるか?」
ミナは指で文字を書いた。
『……奥の書庫に残響あり』
二人は静かに書庫へ向かう。
廊下の石畳に落ちる足音が、まるで探るように反響する。
ミナは杖を軽く叩き、瓶の光を震わせる――音錬が、古代魔術の痕跡を示す。
書庫の奥。
微かな光と音が導く先には、異様な空間があった。
棚の間に張り巡らされた魔法陣と、中央に置かれた古文書――それは、学者たちの最後の痕跡を示す証拠だった。
「これは……」
ルクスの息が詰まる。
古文書には、王宮の上層部が暗躍し、学者たちを“禁忌の知識”に触れさせないよう操作していた痕跡が刻まれていたのだ。
ミナは手を震わせつつ、杖で微かな音を与える。
音は壁や床に共鳴し、封印されていた魔術の情報を静かに解き放つ。
「音で解読できる……すごい」
ルクスは驚きと感嘆を隠せない。
ミナは小さく手を振るだけで、声はない。だが、音錬で真実の断片を紡ぐことができる――それが、彼女の力だった。
「君がいなければ、私たちは永遠に迷っていたかもしれない」
ルクスは真剣な眼差しで、ミナに言葉を向ける。
ミナは文字で答える。
『……私の声はない。でも、私の音は届く』
二人の間に、沈黙の絆が生まれる。
声はなくとも、意思は確かに伝わる――その感覚が、ミナの心を少しだけ温めた。
書庫を出ると、王宮の中庭に朝露が輝いていた。
「でも、これで全て解決というわけではない……」
ルクスが呟く。
ミナは杖を握り直し、心の中で小さく決意する。
「……まだ、夜明けは来ない。でも、私は戦う」
影の中で蠢く陰謀。
そして、古代魔術の謎――
声なき少女の戦いは、まだ始まったばかりだった。




