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第8話 指輪?

レイノとぐるぐると宝飾品を見て回っていると、先生が部屋に入ってきた。

指輪のコーナーを眺めている。


へえええ。ルビーの彼女といよいよ婚約?いや、結婚か?

先生は多分、22歳ぐらい?適齢期ですね。


ちょっと待てよ?

今、この人、うちの客間に住んでるけど…通いになるのか?新婚さんで夜に弟の勉強をみるわけにもいかないよな?

うんうん。

近々、自由な夜が帰ってきそうだな。


弟と小声で話しながら指輪を選んでいる。


仲良しさんになったんだなあ。

目つきは怖いけど、教え方は確かに丁寧だった。いい人、かも。

幸せになってほしいですね。


第一印象では、そつないご令嬢と愛のない結婚とかしそうなタイプかと思っていたが、こうしてあれこれお相手の指輪を選んでいるなんてな。少し意外だが。


そう言えばおばあさまのネックレスも、お母様の宝飾品もそっくりしていた。

お金に困っていたなら、売り飛ばしてしまえばよかったのに、お父様。

私は持参金なし、宝飾品無し、でも貰ってくれるところに嫁に行きますからね!

家にある宝飾品は、弟のお嫁さんにあげよう。

アンテーク好きな娘さんだといいなあ。


「サイズはおわかりですか?」


いつの間にか、店員さんが先生の脇に立っていた。早いな。


何か話し込んでいるが、ここまでは聞こえない。ほんの少し、さりげなく近づく。


「サイズね…今日連れてくるはずだったんだが、都合がつかなかったようでね。」

「さようでございますか。では、その方の薬指にリボンを巻いて計って来てください。すぐにご用意しますので。」


おやおや。


「あの…。」


どうしたの?レイノ?


「ここにいますけど?」


何が?誰がいるの?


「は?」

「だから、ここにいますよ、先生。」

「は?」

指さすな、レイノ、何?


「お姉様?左手を出してください。」

つい、条件反射でレイノの差し出した手に、左手を上げてしまった。犬じゃないんだから。


「はい。お願いします。」


店員さんが引いている。そうよ、私は今日は侍女。アークラ伯爵家の嫡男とは何の関係もないわよ?


「れ、レイノ?あ、レイノ様?」

「お前、何やってるんだ?」

「いえ、その…。」


深々と被っていた帽子を奪い取られた。絶体絶命!


「いえ、そのですね…。」

「休日、都合が悪いと言ったのは、侍女になるためだったのか?」

「いえ、都合が悪いと言ったのは、また休日返上で勉強するのかと思ったからです!そしたら、レイノがお出かけすると聞いたから、いくら小娘でもですね、連れ添って出かけたりしたら先生に変な噂が流れるといけないと思ってですね、こっそり付いてきたわけです。」

「・・・なぜだ?」

「だって、ラッセ通りのお店なんか来たことないんですもの。行ってみたいなあ、と思いまして。」

「は?」

「うちはですね、つつましくやってきましたでしょう?こんな高級店には縁がないんです。」

「いや、そうじゃなくて、それでどうして侍女服なんだ?」

「だ・か・ら!先生の婚約者さんに変な噂はきかせたくないでしょう?って言ってるんです!現に宝石店とかに一緒に入れないでしょう?噂になったらどうするんですか?」


もう、なんてにぶい男。


「・・・どんな噂だ?婚約者に侍女服着せて連れ歩いていたほうが、変な噂になりそうだけど。」

「だから!」

「なんだ?」

「・・・え?だれが?だれの?」

「お前が、俺の。」


「え?ごめんなさい、何を言っているのかさっぱり理解できません。」









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