第16話 そしてそれから。
「し、仕方ありませんね。それでは帰りましょう。」
そう言ってティーナは真っ赤な顔のまま荷造りを始めた。
プロポーズは上手くいった。多分。
アドバイス通り花も贈ったし、ひざまずいて指輪も渡した。指先に軽く口づけるのも忘れなかった。
あとは…あ、ルビーの誤解な。
俺の父親が妹のユリアナを溺愛していて、大きな真珠とか、ウズラの卵大のサファイアだの今年はダイアモンドのティアラ…常々そんなものを贈っていたので、ルビーの大きさに違和感を持たなかったことを正直に話した。
あきれられたが、少しは納得してくれたらしい。
あとは…なんだっけ?
あ、お前のことが好きだ!だな。
お前《《で》》いい、じゃないぞ。おまえ《《が》》いい。
お前みたいに退屈しない女は他にはいない。
癖のある金髪も、秋の空のような青い目も…笑うとかわいいし。
お前がいないと、屋敷が静かすぎて違うところみたいだ。使用人まで静かだ。
そうだな…なんというか、寂しい。
空気を読めないことも諦めるぞ。
何を口に突っ込まれても動じないようにするし…なんなら宝石店で白い手袋も買ってやる。
妄想癖も許容範囲だ。妄想小説?だって書いていいぞ。ただ、勉強はしろ。卒業できなかったら結婚もできないだろう?もちろん持参金は要らないからな?
どうだ!
「もう、わかりましたから!」
耳まで赤くしたティーナが俺の口に焼き菓子を突っ込んでくる。
え?声に出てた??
本編 完です。番外編が続きます。




