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第14話 家出。

早朝、昨晩のうちに使いを出していたリーサの家に向かう。

とりあえずいる物をカバンに詰め込んできた。


「おはよう。どうした?まあ、ご飯にしよう。」


リーサの私室に食事が二人分運ばれてくる。

ほんわりとオムレツのいい匂い。


「それで?誕生会だったんだろう?どうした?」

「・・・・・」

「婚約者殿にプロポーズされたんだろう?16歳になったから。」

「な、なんで知ってるの?」

「自分で言ってた。16で正式に婚約で、学院を卒業したら結婚なんだって。って。」

「・・・・・」


あ、オムレツ美味しい。


「冷静に客観的に言わせてもらうとな?弟さんのことを考えたら、この結婚は受け入れるべきだと思うぞ。話を聞く限りは将来的には弟さんを共同経営者にするつもりのようだし。」

「・・・・・」

「そんなに、いやな男でもあるまい。気になっているのはやはり、ルビーの女か?」

「それもあるけど…。私もね、いろいろ夢を見ていたわけですよ。跪いてプロポーズしろとは言いませんが。それを、あの男…。」

「ん?」

「お前《《で》》いい、と言ったんです。《《で》》ですよ?《《で》》!」

「ん??」

「せめて、嘘でもいいから、お前《《が》》いいと言えないんですかね?そこは、《《が》》でしょう!!そんな、気に入った色のタイが無かったから、青でいいか、みたいな?」

「ああ、そこ?」

「・・・大事なことです。」

「で、家出してきちゃったんだ?」

「・・・はい。朝早くからすみません。」


侍女の方が紅茶を入れ替えてくれた。リーサが軽く、人払いをする。


「本当にバリバリの政略結婚だとな、結婚式当日に相手の顔を始めて見た、なんてことがあるらしいぞ?それで、結婚してみたらお互いに愛人がいたとかな。」

「・・・・・」

「ルビーの女はいても許すんだろう?じゃあ、いいじゃないか」

「それでもですね…これから家族として長く暮らすでしょう?私はやっぱり《《で》》の女で《《が》》の女の人が別にいるんだなあ、って思うと、なんか…。」

「ほう、それはな、許したくないんだろう?」

「・・・そうかもしれません。やっぱり無理かなあ、って。」

「そんなに大きい石だったのか?」

「そうですねえ、10万ガルド金貨位?厚みもちゃんとあって、綺麗な色でした。」

「そんなにか。かなりの額だな。」

「でしょう?素人の私にもわかります。それを、9歳の妹さんへのプレゼントだなんて…信じる人いますかね?」


「・・・まあ、しばらくいたらいい。私は学院に行くが、休んでゴロゴロしていろ。学院には休み届を出しておくから。」


「・・・ありがとう。」



用意された客間のテーブルに、ペンとノートを出してみるが、何も降りてこない。


しかたがないので、寝ることにした。






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