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『罠-4』
その日の空はよく晴れ渡っていた。それでも夜には雨が降り出すかも知れないという、そんなあやふやな天気予報の出ていた一日であった。
上村が運転する車内で、助手席の桃に向かって、
「捜査本部からも了承が出ました」
「例のですか!?」
例のというのは、捜査本部から了承が出たというのは、上村が先日、桃に言ったある作戦に対してであった。
「藤田の意識が戻りました」
「まだ戻っていませんよ」と桃が驚いたように言った。
「戻った事にするんです」
「……」
「もしも……」
「……」
「藤田が真犯人じゃなかった場合……」
「……」
「藤田の意識が戻ると困る人がいるはずなんです」
「困る人? ……真犯人!?」
「そうです」
「その誰かを……」
「おびき出します」
「……」
「病院の警備も敢えて手薄にします」
「……」
「罠に嵌まるのはネズミなのか……」
「……」
「それとも……」
「……」




